アメリカは「成長」、日本は
「サービス残業+非正規雇用」に支えられる

 一方、アメリカの構図は、フランスやドイツのものと異なります。まず分母ですが、就業者一人あたりの平均年間実労働時間は、1970年からの43年間でわずか6%しか減っていません(図3)。しかも、下の図4が示すように、就労者数は、過去43年間で7868万人から1億4393万人へと83%も増えています。その結果、分母の就業者の年間総労働時間も72%増えたわけですが、それ以上に大きく増えた分子のGDPに支えられ、時間あたりの労働生産性トップの座をキープしているのです(図1)。

◆図4:就業者数の推移(単位:千人)

「もっと働かない日本」のすすめ出所:OECD Stat

 それでは、日本はどうでしょうか。パートタイマーを中心とした非正規雇用拡大の影響もあり、就業者一人あたりの平均年間実労働時間は、1970年から昨年までに23%減り、統計上はアメリカより少なくなっています(図2)。しかも、就業者数も97年以降減少傾向にあるため、分母の就業者の年間総労働時間が減ります。一方で分子のGDPも伸びているため(図2)、時間あたりの労働生産性は、確かに改善の方向にあります。

 しかし、一人あたりの平均年間実労働時間が依然として高い水準にあるため、最下位を脱することができません。また、この実労働時間統計には、他の先進国では少ないと予想される一方、日本では横行している「サービス残業」が含まれていません。従って実態としては、平均年間実労働時間は1735時間をはるかに超え(特にフルタイム労働者)、よって時間あたり労働生産性も36ドルを下回るものと推測されます。このように日本の時間あたり労働生産性の数値が伸びは、拡大する非正規雇用と見えないサービス残業に支えられている、と言えます。