目指すは、日欧折衷型の
ワークライフバランス社会ではないか

 時間あたり生産性については、アジアの国々も社会・経済の成熟につれ、いずれは日本に近づいてくるでしょう。例えば韓国は、2003年から10年間で50%も伸ばし、この間に12%しか伸びていない日本の水準に急接近しています。

 今後、日本では、就業者が少子高齢化の影響で減り続けます。こうした中で、わずかながらも一定の経済成長を続け、仮に人口1億人の水準維持に必要な出生率を求めるならば、国も企業も個人も「もっと働かない社会づくり」を大胆に進めるべきでしょう。

 つまり、時間あたりの生産性の向上を優先指標に据え、中長期的にフランスやドイツ並みの時間効率の達成を目指すということです。そこで、より少ない人が、より少なく働き、より多くの付加価値を生みだすのに適した社会と経済のしくみ、産業構造、企業体質へシフトする。また同時に、人々が、「短く働く=悪いことではなく、良いこと」「短く働く人=怠け者ではなく、できる人」という意識を持つ。もちろん、日本(人)の良いところや強みを生かしつつです。

 では、どうしたらこうした社会が実現するのか、他の先進国ではどうしているのか、人々は、どのような幸せを求め、どういう働き方をしているのか?

 そこで参考になる国は、金融経済の影響を強く受け、大きな格差(経済・教育・医療・文化)と長時間労働のもとで経済成長と雇用拡大をおこなう新興の超大国アメリカではなく、フランス、ドイツ、ベネルクス3国、北欧諸国などの欧州諸国であると思います。なぜなら、これらの国々は、日本(人)が従来からり大切にしてきた社会の公正と安定を重んじ、歴史と未来、経済と文化、世界と地域、自然と人間社会の協奏を目指しているからです。

 また、 これらの国々は、現在、日本人の多くが求めている、金銭や物質的な充足ではない精神的な豊かさを、世界に先駆けて求め「少なく働き多くを得る社会」へのシフトを進めてきたからです。筆者は、今後こうした分野で参考になるであろう欧州からの視点と情報を、随時お伝えしていきたいと思います。