医者と薬に
頼らない健康法

 私は長年薬剤師として西洋医学と薬を研究してきました。しかし、次第に薬による治療に限界を感じるようになったのです。

 実は薬には病気を治す力はありません。薬はあくまで手助けをするだけで、病気を治癒するのは人間自身の力なのです。理論的には100%効くとされる薬でも、人間の体はそれほど単純なものではありません。現実には50%も治せれば、とてもよく効く薬とされるのです。また、薬には作用があれば副作用もあります。

 たとえば痛み止めは、頭痛にも腰痛にも生理痛にも用いられ、また解熱鎮痛剤として風邪のときにも処方されます。痛みを抑えるのは炎症を抑えることですから、解熱鎮痛剤をたくさん飲めば、体温が下がって免疫力も低下してしまいます。また解熱鎮痛剤には胃腸障害の副作用もあります。

 特に精神科には、その効果が疑わしい薬がたくさんあります。リラックスさせる目的で出される薬の副作用の項目にうつ症状があったりするのです。現代医療をもってしても、人間の精神を変えることはできません。薬を多く飲むと副作用で胃が荒れるので胃薬が追加され、結果的に7種類以上も処方されるなどということもあります。

 西洋医学の薬は、ある一成分の効果によって、体を操作します。炎症改善のように完治する場合もありますが、ほとんどは操作なので、服用を続ける必要があります。それに比して、漢方薬はたくさんの生薬の集まりです。一つの生薬の中にも多くの成分があり、温めたり温めすぎないようにしたりとバランスをとっています。