「●●時代のマーケティング」
のコピーはバズワードにすぎない
ネット広告がラジオ・雑誌・新聞を抜き、テレビ広告までを抜こうとしている事実を背景に、さらに注目が集まっている。だが、現在のネット広告業界ではキレイゴトばかりが語られている。
多くの広告主が普通のネット広告の活用もままならない段階で、「ソーシャルメディアマーケティング」「ビッグデータ」「アトリビューション」「LINEマーケティング」などなどの次世代テクノロジーやトレンドばかりに目をとられている。
そこには期待する効果も目標も明確にない。広告会社やIT会社から煽られて着手している場合がほとんどだろう。なのに、「●●時代のマーケティング!」「もう昔の広告手法は通じない!」などと煽る人が多いネットマーケティング業界に、私は個人的に違和感がある。
よく見るのは……
「次世代のマーケティングはコレだ!」とそれっぽいキーワードをブチ上げる
↓
業界のみんなでそのキーワードを盛り上げる
↓
そのキーワードを解説する企業や評論家やコンサルタントが儲ける
↓
でも、その施策のほとんどは効果が出ず、お金を投資して損をするのは広告主
……というサイクルの繰り返しである。半分は業界の思惑(笑)。
世の中のあらゆる業界がマイナーチェンジで進化しているのに、マーケティング業界だけは“フルモデルチェンジ=すばらしいこと”とされ、みんなが新しさだけを追求している。
「バズワード」もどんどん出てくる。目新しさを強調した横文字の言い回しやテクノロジーや理論も次々登場し、それだけで何やら新しいもののように思ってしまう。この業界の悪い癖だ。
ネットマーケティングは、決して特殊なものではない。
実際のところ、マーケティングの本質はこの10年変わっていないし、今後10年もそこまで変わらないだろう。デジタルの時代になったからといって、人間の本質が変わるわけではないし、この変わらない人間のインサイトを見抜くことができるマーケターが勝っていくのである。
また、最近はマーケティング/広告そのものが注目されたりするが、「おもしろくて話題になったマーケティング/広告」と「商品が売れたマーケティング/広告」はまったく別物である。
本来、マーケティング/広告とは“仲人”である。その仲人がお見合いの席で自分自身を売り込むのは本末転倒だと私は思う。結婚すべきは商品と消費者なのだ。
だから声高に「●●時代のマーケティング!」を叫ぶ人は、目先の変化で目眩ましをかけているだけである。