京大の依頼でデータを検証した専門家は「武田が作為的にグラフを作成し、誇大広告を行った疑いを否定できない」との見解を寄せた。調査委に武田は「担当者の記憶があいまいで理由の特定ができない」と回答している。

 京大は不適切なグラフが広告に使われたことを「京大の研究者は気付いていなかった」と言うが、論文発表後に発行された医療雑誌「日本臨牀」にも不適切なグラフは掲載されている。執筆者の京大教授は「自らが日本臨牀に送付したグラフとは異なっている」と調査委に釈明したが、日本臨牀社は「執筆者から提供されたデータを使っている」と本誌の取材に対して説明。ここでも矛盾が生じている。

 武田はCASE‐J関連で計37億5000万円を寄付し、うち約28億円を京大が受け取った。実質的なスポンサーだった武田からの資金や労務の提供によって、研究の公正性が損なわれる利益相反の点で京大は「今日の基準では、利益相反の懸念を第三者から表明されかねない事態」としながらも、「当時は問題とされるべき状況ではなかった」と強調した。

 不適切な広告で不利益を被るのは患者である。武田、京大共に身内に甘い調査で幕引きを図ろうとするならば、信頼回復は遠のくばかりだ。

(週刊ダイヤモンド編集部 大矢博之)