病棟は内科や外科などの患者が混合しており、日々重症患者が入れ替わる。夜勤は2交代で、夕方16時から翌9時まで少なくとも17時間は拘束される。その間に事休憩が1時間ほどとれるが、夜勤体制が十分でなく、仮眠はほぼできない。交代する時間が来ても、看護記録などの残業が続いて昼頃にやっと帰ることができる日もある。そうした長時間労働のなかで妊娠したからといって夜勤は免除されず、結果、妊娠12週で流産した。

 本来は、労働基準法によって、本人が申請すれば夜勤は免除される。日本医療労働組合連合会の調べでは、妊婦の3分の1が夜勤免除されずに働き続け、約3割が切迫流産を経験している。同組合の調査をクロス集計すると、母数は少ないものの夜勤回数が多く超過勤務時間が長いほど、流産率が高まる傾向があることがわかる。

 2010年4月以降に妊娠した看護職のうち、2交代夜勤が月4回以下の流産率が6.8%であるのに対し、5回以上では12.1%となり、3交代夜勤では月8回以下で9.3%だが、9回以上で12.2%となった。時間外労働では、月30時間未満では、8.6~10.3%だが、月30時間を超えると大幅に上昇して15%台となり、月60~70時間になると25%に上った。

 こうした職種別の妊娠異常に関する調査は点在しており、医療労働組合連合会の調査では、介護職の切迫流産は約25%とされている。また、全国労働組合総連合女性部が2011年に行った「妊娠・出産・育児に関する実態調査報告」では、回答数の多い順に、一般事務職(825人)、教職員(561人)、看護師(499人)、保育士(237人)など、職種別の状況もまとめられている。

 各職種の回答数は限られているが、保育士についても見てみてみたい。同調査では、過去の流産の経験について回数を尋ねており、流産の経験がある割合の合計が正規職員で28.3%、非正規職員で33.3%と、3人に1人の割合に上る。単純比較はできないが、一般的な流産率は約15%であることから、保育士の流産が多いことがうかがえる。

 そして兵庫県教職員組合が、育児休業中の教員に妊娠中について尋ねた「2014 カムバックセミナー参加者アンケート」(回答者54人)では、「妊娠障がいの症状があった」と約半数が答えている。切迫流産や切迫早産で入院治療が必要な人が多かった。

 こうした調査が医師や労働組合を中心に行われており、厚生労働省もマタハラやセクハラについては初となる雇用形態別の実態調査に乗り出す。厚生労働省の雇用均等政策課では、「具体的な内容については今、まさに検討中」だとしており、2015年度中には調査を行い、結果を発表する予定だ。

切迫流産で休暇中もメールや連絡の嵐
マタハラ被害で二度も流産した編集者

「マタニティハラスメントが起こる根っこには、長時間労働の問題がある。被害に遭った当事者自らが声を挙げなければ」

 小酒部さやかさん(実名・1977年生まれ)は、2014年7月に「マタハラNet」(正式名称はマタニティハラスメント対策ネットワーク)を立ち上げた。そこで、被害を受けた当事者たちが声を上げ始めた。代表の小酒部さん自身もマタハラの被害に遭い、2度も流産を経験している。