同時に、高齢化の根本原因は個々人にあるのだから、高齢化がもたらす問題を社会だけで、つまり政府の施策だけで解決しようとすることには無理があります。まずは個人の段階で、できるだけの解決を図る。個人ではどうにもならないところだけ、社会で解決すべく努力する。そうした姿勢が必要でしょう。

 人口減少と異なり、高齢化は先進国共通の現象ですが、日本の高齢化の速度は明らかに異常です。その理由は主に2つ。1つは先ほど述べた「人口の塊」ですが、いま1つは日本人のすさまじい長寿化です。たとえば、1950年の平均寿命は61.3歳(男女平均)でしたが、2010年の平均寿命は83.01歳と、たった60年の間に20歳以上も寿命が延びています。それだけ、戦後の先進国化が速かったということです。

少子化は出生率の低下にあらず
「生む年代」の女性が激減している

 次に、2030年代半ば以降の人口減少の主因となる少子化の背景ですが、実はそれについても根強い誤解があります。「これから」の少子化の原因は出生率の低下ではありません。「これまで」の少子化の原因は確かに出生率の低下でしたが、「これから」子どもが減る原因は、子どもを生む年代の女性人口の激減です。

 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、子どもを生む確率の高い25~39歳の女性の数が、2010~2060年の50年間で55.1%も減り、現在の半分以下となる44.95%まで低下すると予測されています。

 他の先進国と比較しても尋常ではない減少ペースです。国連の推計では、同期間において、米国は23%、英国は5.2%、フランスは4.2%子どもを生む年代の女性が増えると予測されており、日本だけが激減しているのです。その結果日本では、少子化が世界に類を見ないレベルで進みます。19歳以下の子どもの数は、米国が21.9%増、英国が13.7%増、フランスが8.4%増と見込まれるのに対して、日本は53%減となります。

 では、なぜそれほどまでに女性の数が減ってしまうのか。大元の原因は、日本政府が終戦直後に行なった大規模な産児制限にあります。当時の日本では、田畑の荒廃に加え、植民地からの大量の引揚者によって人口が急増し、その上子だくさんでは、国民全員が飢餓に陥るという懸念が高まっていました。