ウソでもいいから、
上司のことは褒めておく

 そのためには、「モノの見方」を変えることです。
 人は誰にも、いいところもあれば、悪いところもあります。しかも、それらは往々にして表裏一体の関係にあります。つまり、「モノの見方」によって、長所は短所になり、短所は長所になるということです。だから、常に、相手の性質を観察するときに、「よい光」を当てることを習慣づけることです。

 先ほどの細部にこだわりすぎる上司の場合であれば、見方を変えれば、細かいところまで目が行き届く人物ということもできます。些細なミスであっても、ミスはミスです。それを見つけてくれたことに感謝することはできるはずなのです。そして、その上司に「ご指摘ありがとうございました」と好意を伝えれば、相手も決して悪い気はしないでしょう。

 本人がいない場所で褒めれば、さらに効果的です。
 他部署に寄ったときに、「うちの部長は、細部までしっかりチェックしてくれるから大助かりだよ」などと褒めておくのです。必ずしも本心である必要はありません。ウソでもいいから、とにかく褒めてしまうのです。そうやって、何度も口にするだけで、あなたのなかの上司への嫌悪感は薄らぐはずです。

 しかも、あなたの発言は必ず上司の耳に届きます。そのうちに、上司の態度も少しずつ変わってきます。好意的な表情で声をかけてくれますし、仕事の相談にも快く乗ってくれるようになります。そうなると、こちらにも相手に対する好意が湧いてきます。その気持ちが相手にも伝わり、さらに親密な関係になっていくのです。

 相手のことを「好き」になるにも、技術があります。
 ウソからまことを生み出すのも、重要な処世術なのです。

 心理学で「ラポール」という用語があります。こちらが好意を示せば、相手もこちらに好意を寄せてくれる。そうして互いが歩み寄って築く、安心して付き合える人間関係のことを指します。この「ラポール」を築くためには、まずあなたが何らかの形で相手に好意を伝えることです。