「量産型就活生」を生み出す学校的価値観

ちきりん それは、企業が大きくなる時の共通のジレンマですよね。

田端 事前の期待値や予想を超えて、驚かせてくれる学生が少ないんです。僕なんか社名も実名も出してるんだから、突撃して「面接させてください!」とか言ってくればいいのにね。意外とそういう人っていません。

ちきりん わかります。まあ、そんなこと言っちゃって、田端さんのところに突撃する人が100人とか出てきちゃっても大変でしょうけど(笑)。自信作の動画とか作品とかを送って、見てくださいとかいうのは有りですよね。

田端 そうなんですよ。でも、学校的価値観からすると、そういうように、入りたい会社の人間に、個別にアポを取るのは、裏口入学っていうか、ずるしてるみたいにみえるんでしょうね。正門から正々堂々と内定を勝ち取るのが正しい、と思い込んでる感じがします。

ちきりん もしくは突撃して出禁を食らったらどうしよう、と思ってるとか? “就活アドバイザー”みたいな人たちが、「スーツはこういうのが無難」とか、リスクを避けることばかりアドバイスしてますからね。そういうのを素直に聞けば聞くほど周りと同じになって、供給過多の市場に飛び込むことになるのに。

田端 「量産型就活生」ってやつですね(笑)。LINEだって、最初のエントリー応募数から考えると最終合格して内定する人の倍率は、実質数百倍を越えています。普通のことをやってたら、落ちるのが当たり前なんです。リスクとって、目立ってなんぼですよ。

ちきりん しかもいまは、伸びる会社ほど、リスクをとる人を求めていますよね。あと、みんなと同じコトをするって、相手の立場に立って物事を考えてないんです。例えば私のところには、本を送ってくる人がたくさんいます。でもね、相手の立場に立って考えれば、「ちきりん」が価値を感じるのは、おもしろいブログネタであって、俺の書いた本じゃないって気付くはずだと思うんですよね。本を送る前に、自分はなんらか「ちきりん」に価値あるブログネタを提供できないだろうか?って発想をすればいいのに。相手が求めている価値は何かを考えないと、振り向いてもらえないです。

田端 そうですよね。

ちきりん 就活で成功する人は、就活を始める前の段階で、マーケットにさらされていた人だと思います。バイトをしたり、ブログを書いてみる、アプリをつくって公開してみる、くらいのことでいいんです。そこでマーケット感覚を身につければ、他の人と同じことをしても、市場では選ばれないってわかるはず。