それでも目指すのが中国なら
必要なのは「中長期的なリスク分散」

 現在の世界の経済情勢を考えると、中国ビジネスについては、リスクを意識しながらも、当面の収益性を求めることになるだろう。ただ、そこでもう1つ必要なポイントがある。

 それは、「中長期的なリスク分散」の視点だ。過度に中国に注力し過ぎると、リスクの顕在化による損失が大きくなるからだ。今回の世界的な不況により、わが国企業が米国の過剰消費の崩壊から受けた落ち込みぶりを考えると、リスク分散の必要性は明らかだ。

 先の見えにくい状況のなか、1つ明らかなことは、今後の世界経済の動向を考えると、「経済の中心が先進国から新興国へと移行している」ということだ。新興国の中で、最も重要な国が中国であることは確かなのだが、他にも今後成長を見込める国は多い。

 たとえば、人口が多くて資源に恵まれ、経済のバランスが良好なブラジルや、近い将来人口が中国を抜くと言われるインド、さらには、ベトナムやタイ、トルコなどの新興諸国には、相応の潜在力が潜んでいる。

 むろん、それらの諸国には、それぞれ異なった文化や経済条件が存在するため、全てをひとまとめに認識することは危険だが、相応のビジネスチャンスを持っていることは明らかだ。

 問題は、ビジネスチャンスのポートフォリオ中で、「リスク分散=ダイバーシフィケイション」の対象として、様々な諸国についていかに的確に認識することができるかだ。

 「当該国には、どの程度のビジネスチャンスや将来性・成長性があるか」、また「それに付随したリスクは何か」を、最新の情報に基づいて適正に判断することが、勝負の分かれ道になる。

 わが国企業は、従来米国への依存度が高かったこともあり、「米国以外の諸国に対する認識の度合いが相対的に低い」と言われて来た。それでは、本来の意味でのリスク分散は図れない。

 今後、企業経営者には、発想を変えて「世界地図全体=グローバルな観点」からの思考が求められる。我々1人1人にとっても、そうした発想を持つことが成功への条件になると考える。