親の態度から
子どもの思い込みが生まれる
こうした非言語メッセージが子どもに与える影響とはいかなるものか――
例えば、育児と家事でクタクタに疲れているときに子どもに「ねえねえ、これ何?」としつこく聞かれ、つい「知らない」と冷たく答えてしまう親もいるだろう。
こういうとき、子どもは「知らない」という言葉だけではなく、投げやりに答える親の態度にショックを受ける。
親に「近寄らないで」と拒絶されているように感じるのだ。
そうすると、親に対して「近寄ってはいけない」という禁止令を自分に課してしまう。自分に「~するな」と命令を下すのだ。
親の機嫌を損ねないためには、親にあまり甘えないほうがいいのかな、と子ども心に感じ、いつも親の顔色を伺い、距離をおいてしまう子もいる。
これはいわば子どもの「思い込み」である。自らの行動を制限することで、親の愛を必死で得ようとする、生存本能によるものだ。
子ども時代にできた思い込みは、大人になってからもなかなか消えない。
その結果、たとえば「近寄るな」禁止令を持った子は、大人になってもまわりの人とコミュニケーションをとるのが苦手で、いつも一人で行動するようになってしまう。そういう人生を歩んでしまうのだ。
ただし、すべての子どもが禁止令をつくるわけではない。
親にじゃれつき、「後で」と冷たく突き放されても、ケロッとしてすぐに他の遊びに夢中になる子もいるだろう。認知の仕方は人それぞれなので、親の行動によって子どもがどう受け取るかは様々であることは付け加えておきたい。
次回は、ネガティブな脚本をつくる代表的な13の禁止令を紹介する。