ワーナー氏は自ら資金を出してトリニダード・トバゴで政党を設立。2007年から現在まで国会議員としても活動している。2010年からは3年にわたって安全保障担当大臣も務めており、前述のフランコ氏によると、「現政権とも非常に近く、国内には政治家としてのワーナー氏を支持する有権者が一定数いる」のだという。しかし、ワーナー氏にはトリニダード・トバゴのサッカー協会会長やFIFAの副理事という立場を利用した、チケットの横流しや贈収賄の疑いが、以前からいくつも指摘されてきた。

FIFAの一国一票制度は民主的か?
制度自体が汚職を生み出すという指摘も

 FIFAには209の国や地域が加盟しており、1国につき1票の投票権が与えられているが、その「1票の格差」がFIFA内部で腐敗体質がはびこる原因となっている、と指摘する声もある。

 著名ブロガーのフランシスコ・トーロ氏は2日、ニューヨークタイムズ紙にオピニオン記事を寄稿。209ヵ国の過半数となる110の国や地域におけるサッカーの競技人口は全世界の2.2%すぎず、トーロ氏は競技人口の数で5000倍以上の差があるドイツとブータンの例を出し、「一国一票制度」に対して疑問を呈している。

 オピニオン記事の中でトーロ氏は、サッカー界の発展のためには「一国一票制度ではなく、一選手一票制度を導入すべきだ」と主張するが、全世界で推定2億5000万人とされる競技人口を考えると、これだけの人数をまとめる投票システムを作るのは非常に困難だ。

 トーロ氏はアメリカ大統領選挙で用いられる選挙人制度のようなシステムを、FIFAにも導入すべきだというアイデアも示したが、そちらの方がより現実的かもしれない。競技人口や代表チームのランキングなどをベースにして、それぞれの国や地域の選挙人の数を決定するという考え方だが、これによってサッカー界における一票の格差や、それが起因して発生する汚職はある程度是正されそうだ。現時点でFIFAは一国一票制度の改正について何も言及していないが、今後大きな争点となる可能性はある。

 前述のデラッパ氏は、民主的なプロセスを考えた場合、一国一票制度は仕方がないと語る。投票制度にタッチするよりも、FIFA内部の組織改革を優先的にすべきだとデラッパ氏は語る。

「FIFAのガバナンスの仕組みは国連総会をモデルにしたもので、一国一票制度が原則となっている。私はこの制度よりも、ワールドカップ開催地の決定などで絶対的な力を持つ理事会の力が大きくなりすぎてしまったことが、結果的に汚職に手を染めてしまう幹部メンバーを生み出したのではないかと考えている。ブラッター氏は辞任を表明した際に、FIFAの理事会の規模についても言及し、将来的に理事の数は減らすべきだと語ったが、理事の数を減らすことが組織改革の第一歩としては非常に現実的な案ではないだろうか」