4月28日、パイオニアが2012年3月期までの中期経営計画を発表した。最終年度の業績見通しは、売上高4600億円、営業利益220億円であり(09年3月期見通しは売上高5580億円、営業損失550億円)、企業規模の大幅縮小と財務体質の強化を掲げている。
その目玉の一つは、外部パートナーによる資本増強策である。9月までに、ホンダから25億円の第三者割当増資を仰ぐ。さらに、他のパートナーから400億円規模の増資を検討中だという。その引き受け候補として、車載機器で提携した三菱電機や、ファンドに秋波を送っている模様だ。さらに、改正産業活力再生法の認定を申請し、公的資金を活用した資本増強(約300億円)も同時に計画している。
だが、パイオニアの資本政策は盤石とは言いがたい。5期連続の最終赤字のパイオニアが生き長らえることができたのは、株主資本比率40%前後という比較的強固な財務体質があったからだ。
その“貯金”も、累積赤字とリストラ費用の計上によって食いつぶされた。08年3月期の株主資本は2474億円(株主資本比率42.9%)だが、ホンダ以外の増資引き受けが叶わない場合には、10年3月期の株主資本は300億円まで目減りする。「そうなったとしても資金繰りに問題はない」(パイオニア幹部)というが、資産評価の加減によっては債務超過に陥りかねない。
電機業界でも投資基準が厳格なことで知られる三菱電機から、そして、原資が血税であるがゆえに厳しい制約が課されるだろう公的資金から、合計700億円もの資金をかき集めるのは至難の業だ。しかも、これらすべてが実現したとしても、株主資本は1000億円に達する水準であり(10年3月期)、株主資本比率は20%程度だ。さらなるリストラを必要とするパイオニア再建の綱渡りは、続きそうだ。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 浅島亮子)