「伴走型支援」を実現させるために
行政に何が可能なのか?

 2013年12月、改正生活保護法とともに成立した「生活困窮者自立支援法」には、不完全ながら、いわゆる「伴走型支援」のメニューが含められている。徳丸さんやCPAOのスタッフたちが、シングルマザーと子どもたちに対して行っている活動は、まさに、この「伴走型支援」だ。

 しかし、限られた人数・体力・気力・時間で可能な支援は、多くない。行政による伴走型支援が、最も望ましい姿ではないだろうか? そのための資源確保と支援の実施を行政に求めるのが、本来の筋なのではないだろうか?

「いいえ。あくまで、行政にできることは行政で、民間は民間でやるべきだと思います」(徳丸さん)

 それでは、行政に「できない」ことは、何だろうか?

「まず、行政には『公平でなくてはならない』という制約があります。当然ですよね、税金で動いているわけですから。行政が何もかもを行うと、逆に民間を圧迫することにもなります。『行政はここまで』という枠は、必要です。『開庁時間は9時から5時まで』とか。でも、その枠がある限り、本当の伴走はできないんです」(徳丸さん)

 生活の危機、場合によっては身体や生命の危機にも陥っているシングルマザーと子どもたちを支えるためには、「平日9時から5時まで」というわけにはいかない。しばしば、深夜、困難や問題が発生している場に行き、直接介入を行う必要も発生する。

「私たちCPAOでは、枠を作らないように努力しています。そういう支援が、必要とされていますから。もしも、本当の伴走型支援を行うというのなら、行政が私たちのような民間団体に予算をつけて伴走型支援を委託し、費用対効果を別途測定する……という形にしか、なりようがないのではないかと思います」(徳丸さん)

 では、財源はどのように確保すればよいのだろうか?

 2015年4月2日、政府は「子どもの貧困対策基金」を創設して民間資金を活用する方針を発表した。子どもの貧困率は、最新の2012年統計で16.3%と、過去最悪の状況となっている。基金は、生活や学習を支援する団体への資金援助や、才能ある子どもに対する教育に用いられるとされている。