経済学の始まりとされる英国の古典派経済学は、18世紀後半に登場します。ですから、経済学の歴史は250年に満たない。数学、音楽、法学、哲学、文学に比べると600年ぐらい後で登場した学問です。
1209年に創立されたケンブリッジ大学で初めて経済学の卒業試験が実施されたのは20世紀初頭だそうです。なんと創立の700年後。このときのケンブリッジ大学経済学教授がアルフレッド・マーシャル(1842-1924)です。
ドイツ圏では、経済学は主に法学部(多くの大学では法=国家学部という)や哲学部で講じられていました。経済学部として独立したのは第2次世界大戦後のことです。
むしろ日本のほうが大学に経済学部(科)を設置したのは早かったかもしれない。慶應義塾に大学部理財科が置かれたのが1890年。「理財」は「経済」と同じ意味です。早稲田大学(東京専門学校)の開校は1882年で、政治経済学科が最初からありました。東京帝国大学や今日と帝国大学の経済学部が法学部から独立したのは1919年でした。
多くの人が知っている経済学者の名前といえば、マルクス、ケインズ、シュンペーターといったところでしょうか。実は3人とも、経済学部がまだ存在しなかった19世紀後半から20世紀初頭に大学を卒業しているので、マルクスとシュンペーターは法学部出身、ケインズの専攻は数学だったのです。
つまり、世界の多くの大学で経済学部が登場したのは20世紀に入ってから、ということになります。
Q 大学に経済学部ができてから、100年と少ししか経っていないんですね。
ですから、膨大な歴史をたどる必要はなく、250年間の骨子だけ理解すればいいのです。
基本となる3つの経済思想とは?
さっそく、3つの経済学(経済思想)の流れを見てみましょう。先ほど、経済学の誕生は英国の古典派経済学から、と言いましたね。
登場順に並べるとこうなります。
① 古典派経済学(18世紀後半~19世紀後半)→ 新古典派経済学(19世紀後半~)
② マルクス経済学(19世紀後半~)
③ ケインズ経済学(20世紀前半~)
それぞれについては次回以降で詳しく説明するので、まずはざっくりと言葉と流れを知っておいてください。