新古典派経済学、ケインズ経済学、マルクス経済学……聞いたことはあるし興味は少しあるけれど、その思想が生まれた背景や理論上のポイント、相互関係などはよくわからない、という人は多いのではないでしょうか。一方、なんだ古典の話か、今の生活や仕事には関係ないな、と感じる人もいるでしょうが、これらは決して過去の学問の歴史にとどまりません。どうして経済学が誕生し、いろいろな理論が登場しては議論を巻き起こして次々に変化していくのか、時代ごとに経済学者の考え方と歴史的な背景を知ると、現代の経済への理解も深まります。実際に20代の男女6人に受けてもらった講義形式で、まずは「経済学」って何なのか、という話題から経済思想史の授業を始めます!
経済学は意外と新しい学問だった!
経済思想史って、そもそもどんな内容なのでしょうか。
Q 私たち6人とも経済ニュースはもっとよく理解できるようになりたいけど、経済学部ではないので思想史には縁がありませんでした。
まず経済用語が難しいよね。専門的で技術的で、変な漢語が多い。テレビ・ニュースの解説を聞いても全体の骨格がわからないと何を言っているかつかみにくい。新聞や雑誌や本を読んでも、なかなか頭に入らないでしょう。
実は、経済学の理論書や時事的な経済書を読むよりも、経済思想史を先に覚えたほうが経済の骨格を理解しやすいんです。
経済思想史は、経済現象や経済行為の背景にある考え方の変遷です。経済学の理論だって、経済思想史を知ることで胸にストンと落ちる。本当です。
経済学部の学生だって、よくわかっていない人が多いんじゃないかと思う。理論経済学と経済思想史を並行して履修するので、すっきり結びつかない。それに、現在との関係も理解しにくいはずです。
経済思想には3つの大きな柱があり、これらの中間にグラデーションのような思想のバラエティが挿入されているんです。そして、この経済思想は政治思想と表裏の関係にあるので、経済思想史を学ぶと世界の政治や経済がどのようなメカニズムで動いているのか、ぐっと理解が深まるはずです。
君たち6人には経済学に少し接点のある人もいれば、まったく接してこなかった人もいますね。でも、高校の社会科(日本史・世界史・地理・現代社会・倫理・政治経済)のいくつかは履修しているはずなので、必ず理解できます。
Q 経済思想はほんとうに3つだけですか。
柱は3本、本当です。それに、経済現象や経済行為は古代からあったわけですが、経済学の歴史はそれほど古いものではありません。