週刊ダイヤモンド

 JRが分割民営化して、22年が経過しました。国営の呪縛を解いたJRは、鉄道事業を再構築する一方で、小売り、金融、不動産など新事業を多面展開し、売上高7兆円の巨大コングロマリットに変容しました。今回の特集は、その全容に迫ります。

 パート1では、民営化当時から引きずる負の遺産と、民営化成功ゆえの新たな閉塞感を抱えるJR7社(北からJR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、そしてJR貨物)の経営問題を、経営指標をつぶさに検証して、明らかにします。

 パート2では、業界トップも恐れる多角化事業の実態です。鉄道だけではありません。食料品やファッションといった買い物や、ホテル、電子マネーなど、JRは私たちの生活全般に関わるサービスを提供しています。JR東日本を例にとれば、営業収益の3割を小売りなど非運輸事業が稼ぎ出しているといった具合です。

 驚くべきは、そのJRの多角化事業が、各業界トップに迫る勢いだということです。

 たとえば、コンビニエンスストアのニューデイズは、日販(1日当たりの1店舗の売上高)が、コンビニ最大手のセブン‐イレブンジャパンを抜きました。エキナカ商業施設エキュート品川の坪効率(1坪あたりの売上高)は、伊勢丹新宿本店を抜いています。

 エキナカという抜群の立地という理由だけでなく、エキナカならではの創意工夫がそこにはあります。。

 しかし、多角化事業における民営化の弊害も、ないわけではありません。スイカ(JR東日本発行)に代表される電子マネーは、会社ごとに種類が異なり、たとえば関西と北海道では相互利用できません。

 今回の特集は、全76ページにわたる保存版です。パート3では、女性駅長やSL整備士、ダイヤの乱れを正常化する列車指令長など、各分野のエキスパートの仕事ぶりを密着レポートしました。仕事にかける真摯な姿勢と職人技には感動を覚えます。

 パート4ではJRが誇る、車両、駅の秘密を写真やイラスト満載でご紹介します。まだまだ絶大なる人気を誇る超豪華列車「カシオペア」をはじめ、機能やデザインに優れるなど特色ある各車両を網羅しました。

 大の鉄道ファンという石原良純さん厳選による鉄道模型の「プラレール」や、トラベルジャーナリスト・小林しのぶさん厳選による駅弁も紹介しています。

 最後に10月14日に迫った「鉄道の日記念乗り放題切符」のオススメの周遊コースを掲載していますので、この秋の行楽に、弊紙片手に鉄道の旅に出かけてみてはいかがでしょう。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 須賀彩子)