10年後に日本は激変している。
そのチャンスを見逃すな。

藤野 村上さんは、10年、20年たった時に自分がどうなっていると思いますか。

村上 私は大学を卒業したあと外資証券で債券や為替の仕事をして、そのあと父の会社に入って2年間で株のイロハを父に教えてもらいました。基本的にマーケットはすごく好きなので、ずっとこの世界でやっていきたいという気持ちはあります。

 10年後ということになると、日本の上場企業は完全に別の状態にシフトしていると思います。我々が今やっている内部留保の有効活用のような議論はすでに昔の話になっていて、ROEは欧米並みの15%が実現しているでしょうし、資本を無駄遣いしている企業を見つけてそれを適正化することで価値を上げるというような活動の余地はほとんどなくなっていると思います。

 ここで国がこれだけの改革をしているので、それはまず間違いなく実現しているでしょうし、私たちも今そういう方向性で貢献したいなと思い活動しています。

 そうした中で自分としては、今とはやり方を変えて活動しているのかなと思います。10年後、20年後に投資対象にしているのが株なのか不動産なのかはわからないですけど。

藤野 そうした意味で、ここからの10年というのはワクワクする10年ですね。こういう状況を27歳で迎えられて、その点は羨ましいです。僕なんかはこの状況を49歳まで待ってたんです。去年伊藤レポートが出て、やっと待ち望んだ状況が来た、という感じです。

村上 そういう意味で、自分が生まれたのは良いタイミングだったなと思います。

藤野 そこですごく心配なのは、国内勢が頑張らないと日本株の良いところを海外勢にもっていかれてしまうということです。

村上 そうですね。外国人投資家にとって今の日本ほど絶好のマーケットはないと思うんです。日本はどの指標を見てもまだまだ割安で、これだけコーポレートガバナンス改革がされ始めている。まさに「買い時」なわけで、先ほどの黒田電気が代表するような電子部品業界は外国人投資家だらけです。

藤野 そうなんです。日本人はどんどん現預金が増加していくばかりで、株式にお金がまわっていない。こうなると、株価が上がっても外国人投資家だけがいい思いをするという……。

村上 いろいろな政策が施行されている現在の状況というのは、日本の投資家の人たちに頑張って利益を稼いでもらいたいという気持ちが、政策サイドにはあると思います。私としても頑張らなきゃと思いますし、他の日本の投資家の方々にもNISAなどの制度も活用しながらぜひ株式投資していただきたいという気持ちはすごくありますね。

藤野 私もそう思います。本日はありがとうございました。

村上 こちらこそありがとうございました。

(取材・文 小泉秀希、撮影 宇佐見利明)