外資では異例となる企業グループの持ち株会社への資本参画を果たし、中国市場の開拓を急ぐ伊藤忠。その勝算を、岡藤正広・新社長に聞いた(取材当時は社長就任前で、繊維カンパニープレジデント)。 

伊藤忠商事 岡藤正広・社長<br />「“杉杉”出資は千載一遇の好機<br />慎重に責任持って事業展開」伊藤忠商事の岡藤正広・新社長
撮影/Toshiaki Usami

 杉杉集団に出資できたのは千載一遇のチャンス。中国において持ち株会社への出資は、過去にほとんど例がない。政府が認めないからだ。アパレルだけでなく、ハイテクや都市開発など杉杉の傘下にあるすべての企業と組む可能性がある。基本的には、杉杉と伊藤忠、さらに日本企業など外資の3社での連携となる。

 各カンパニーを通してさまざまな業種から打診がきている。出資から1年程度だが、三井不動産とのアウトレット、戸田工業とのリチウムイオン電池が決まった。さらにもう1件新たな案件を進めている。

 ステップを踏んで決断を下す日本企業と中国企業にスピードの差があるのは確か。ただ、われわれは一度でも失敗すると信頼を回復するまで時間がかかる。大きな案件になれば、日本の商社としては即断即決はできないが、それは長所にもなる。