説明会の延長のような
インターン企業は選ばれない
1つめはインターンシップ。実際の業務に近い実践的なコンテンツを準備できた企業は学生から選ばれた。説明会や採用ページだけでは伝わらない、仕事の醍醐味や人の魅力を伝えることができたからだ。逆に説明会の延長のようなコンテンツの企業は選ばれなかった。
実際にインターンの印象が強くて入社を決めた学生の声は次のようなものだ。
「営業の同行をさせてもらい、働くことのイメージがわいた。社員の皆さんが輝いていて、一緒に働きたいと感じた(慶應大学 男子学生)」
「2週間のビジネスプランコンテスト形式だったが、実際の業務を模擬体験できるコンテンツだった。先輩社員が親身にアドバイスをくれたので、入社後の先輩後輩の関係もイメージできた(早稲田大学 男子学生)」
「3ヵ月間、実際の職場でインターンをした。その企業で、女性の働く姿を見て、自分のなりたい姿と重なった(慶應大学 女子学生)」
学生の印象を二分する
OBOG訪問
2つ目は、OBOG訪問。
現場の社員が協力的な企業は、学生に選ばれた。採用に対する士気が高いため、学生の面倒見もよく、仕事の魅力をしっかりと伝えられている。学生からは次のような話を聞いた。
「仕事の厳しさも楽しさも、キラキラしてお話しされていた。自分も同じようにがんばりたいと思った」
「親身に相談に乗ってくれた。会話の中で自分のやりたいことを明確にしてくれた」
逆に、OBOG訪問を通して志望度を下げているケースもある。「忙しそうで、話も上の空だった」「疲れている印象で、充実していなさそうだった」などの印象を与えた場合だ。
「選考中のフォロー」で
志望度に変化
そして最後は、16卒で一番大きな変化だったのは選考中のフォローだ。面接を進めながら、学生の志望度を高めた企業は採用に成功した。
「面接のたびに人事から電話がかかってきた。『志望動機が曖昧だった。次回までに競合との違いを明確にしてきて』など面接のフィードバックをくれるので、次回までの準備がしやすかった。アドバイスが的確で、面接のたびに頭が整理され、入社意欲が高まった(青山学院大学 男子学生)」
「最終面接の前に、人事と面談をした。企業の良い部分も、悪い部分もすべて聞かせてくれた。自分の中で、納得いくまで考えることができた。最終面接に挑んだ時点で、入社に迷いはなかった(京都大学 男子学生)」
数年前までの買い手市場では、企業側が優位だった。その場合、学生は必死に企業研究をする。志望業界の各社の特徴を分析し、志望動機を考えてくる。
しかし売り手市場だと、学生たちは満足に研究をしていない。彼ら自身も、どの企業に入社したいのかが見えていない。そのため、彼らに寄り添い、自己分析の手伝いをした企業は志望度を高めることに成功したのだ。
スケジュール変更が
もたらした意外なメリット
問題点が多いと指摘される就活スケジュールの変更。しかし、悪いことばかりではない。上記のように学生と対話を繰り返し、採用活動を進めた企業にとって優秀な人材を確保できる絶好の機会だった。学生にとってもメリットがあった。企業が業務内容や競合との違いを説明してくれるのでキャリアデザインがしやすかった。加えて、期間の長期化も、進路を見極める有益な自己分析の時間になった。
すでに2017卒のインターンシップは活況だ。外資やベンチャーの本選考もはじまっている。2年目の今年。企業も、学生も、より良い出会いとなることを心から願っている。