グローバル企業のイスラエルでの役割
筆者もいつくかのDLDのセッションに参加した。その中でもインテル、ヤフーラボ、フェイスブック、アマゾン、IBMの現地トップ5名のセッション「The Multinational’s Role in Israel」では、日本ではほとんど報じられないグローバル企業の現地トップ/R&Dトップがお目見えし、パネルセッションが行われた。5名のうち3 名は女性である。
印象的だったことは2つ。1つは、各社イスラエルでどういう役割を持っているかということに関して、誰もが、「我々はイスラエルのスタートアップのエコシステムのメンバーである」という発言をしていたことである。
各社トップが、イスラエルのスタートアップのエコシステムを構成していると公の場で発言をすることに何のためらいもなく、こうしたグローバル企業のトップの問題意識がスタートアップ大国イスラエルを支えていると痛感した。日本では、そもそもこうしたタイトルでセッションが開かれることも少ないだろう。
もう1点は、アマゾンのハレル・イファー(Harel Ifhar)氏が述べた、イスラエルに求めることは技術ではなく、「コア技術」だと明確に表明していたことだ。普通の「技術」ではなく、明らかに他とは違うコア技術、ハイテクを期待していると、グローバル企業の狙いがよくわかるセッションであった。
イスラエルのスタートアップのエコシステムは、すでに、グローバル企業の存在抜きには語れなくなっている。スタートアップへの支援とともに、年間100社ほどがこうしたグローバル企業に買収されるイグジット(Exit)があり、こうした環境はまだまだ日本では未成熟である。