徹底的に「受け身」な人ほど知識の「幅」が広がる

知識に多様性を持たせるためには、どうしても情報流入が必要である。
だが、こちらから情報をとりにいくのではなく、完全に受動的な状況をつくるというのは、意外に難しい。

たとえば、マーケッターがこんなことを語っているのを見たことはないだろうか?

「私は電車に乗っているとき、表参道なんかで途中下車してあてもなく街歩きをすることがあります。そうすると、イマドキの消費トレンドだとかマーケティングに関するヒントがたくさん見つかるんですよ」

しかし、これを本当に情報流入と呼べるかというと、じつはかなり怪しい。
彼がその駅で降りて街歩きをしようと思った背景には、やはり何らかの前提があるはずだからだ。つまり、その人があらかじめ知りたいと思っていた現実にしか触れられていない可能性が高いのである。

本当に「受け身」な状態をつくろうと思えば、所ジョージさんの番組でやっている「日本列島 ダーツの旅」のように、行き先そのものをランダムに決める仕組みを導入する必要があるだろう。

(第17回に続く)