『コーランには本当は何が書かれていたか?』 (カーラ・パワー)
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 没後評価が急上昇した三谷一馬による図版が豊富な『新編 江戸見世屋図聚』(中央公論新社)などを歴史のコーナーで一通りチェックし、宗教のコーナーへ。普段はあまりここへは来ないのだが『欧米社会の集団妄想とカルト症候群』(明石書店)に食指が動く。それに、気になっている本があるのだ。それが『コーランには本当は何が書かれていたか?』(文藝春秋)。知的好奇心をそそるタイトルだが、ここだけを見ると、陰謀論に満ちたトンデモ本のようでもある。ただ、出版社が文藝春秋なので信用してもよさそうだ。テーマによってはどの出版社からの本なのかが、購入を大きく左右するポイント。430ページを超えるこの大著を秋の読書の楽しみとしたい。

 続いて、レジ前を通ってサイエンスのコーナーへ。と思ったのだが、通路脇で展開されている白水社のフェアの前で足が止まる。やはり、白水社の本は装丁が美しい。ボクはキンドルでもかなり本を買うが、ここまで美しい本は紙で買って本棚に並べたい。

 白水社の歴史物はアントニー・ビーヴァーの『第二次世界大戦1939-45』(上・中・下)や、『クリミア戦争』(上・下)、『クルスクの戦い1943 独ソ「史上最大の戦車戦」の実相』などたくさん持っているが、それでも、へえ、こんな面白そうな本が出ていたのかという発見がある。

 1冊を手に取り、奥付を見ると2005年の本であった。書店では基本的に、新しい本がいい場所に置かれている。古いけれど面白い本が前面に出てくるのは、フェアのときくらいではないだろうか。だから、そこには思いがけない出会いがある。

 なお、ボクは必ず、手に取った本の奥付を確認することにしている。そこには、本好き同士で会話をするときの基本情報「いつ、どこから出た、誰が書いた本か」がまとめられているからだ。

 ようやく、サイエンスのコーナーへ。ここへ来ると少し緊張する。サイエンス好きを自称し、書評サイト「HONZ」を主宰している身としては、ここに知らない新刊があったら少し恥ずかしい。

『フィラデルフィア染色体』(ジェシカ・ワプナー)
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 ところが、いきなり知らない、しかもめちゃくちゃ面白そうな新刊と出会ってしまった。なんてこったと手にしたのはその名も『フィラデルフィア染色体』(柏書房)。これは一部の白血病の際に見られる異常な染色体のことだ。2000年以降、その染色体が作る酵素の動きを抑える薬、すなわち白血病の特効薬的存在が開発されていて、この分野は実にホット。だから注目していたのだが、この本を見逃していたのは実に不覚……と、これも奥付を確かめると、発行は15年10月1日。今日より5日以上後の日付だ。