そもそもAさんは借りすぎなのだ。「変動金利&35年返済」という、借りすぎを引き起こす「マジック」に引っかかってしまったといえる。金利が低下し、銀行が完済時年齢を80歳に引き上げて以降、身の丈以上のローンを組んでしまう人が急増している。私は、次世代型の下流老人は、多額のローンを組み、60歳を過ぎても延々と返済が続く人と危惧している。

 老後の安心を確保するためには、返済期間は「65歳-ローン返済開始年齢」とするのが良い。42歳のAさんなら「65歳-42歳=23年」。金利は、少なくとも10年以上の固定金利で金利上昇リスクを抑えたい。

 以上を踏まえて試算すると、次の通り。

 【65歳完済のプラン】
 ローン借入額:4500万円
 借入条件:10年固定金利1.2%、返済期間23年
 毎月返済額:当初10年間は18万6658円、11年目以降は20万2514円
 60歳時残高:約1141万円
 ※11年目以降の金利は2.5%で仮置き

 Aさんは、毎月返済額を見て「子どもたちは2人とも私立中学受験の予定なので、月19万円近くもの返済は無理」と言う。60歳時残高も結構な金額だ。やはり、42歳のAさんにとって4500万円は「借りすぎ」の金額なのだ。

「65歳-ローン返済開始年齢」の返済期間で試算をした毎月返済額が「多い」と感じるなら、それは借入額が身の丈に合っていないということ。住宅を購入する際には、売買契約を結ぶ前に何度も試算をして、慎重に検討すべきだろう。

 人生には自分でコントロールできることと、できないことがある。「自分の死亡時期」、「退職金の金額」、「金利変動」は、自分ではコントロールできない。一方、借入額や返済期間、金利タイプの選択は自分で決めることができる。住宅ローンという多額の借金を組むなら、コントロールできないことを少しでも減らし、コントロールできる要素でリスクを減らすのが肝心なのである。

※Aさんの事例は個別のものではなく、複数の相談内容を組み合わせたものとなっている点をご了承ください。