早くも第3刷が決定し、1ヵ月以上にわたりオンライン書店の「ロジカルシンキング」ジャンルで第1位に輝き続けている『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか ― 論理思考のシンプルな本質』。
本書の主題である「思考型人材」のモデルとして、元BCGの津田久資氏は当初から「いくつかの職業」をイメージしていた。その1つが「お笑い芸人」である。そこで今回、東大卒→元マッキンゼーという「異色のキャリア」を持つお笑い芸人・石井てる美氏と津田氏による対談を企画。
マッキンゼーで身につけた思考法は「笑い」にどうつながるのか? ビジネス界とお笑い界の意外な共通点が見えてきた。異色の組み合わせによる対談、第2回!!
[前回の記事]
「東大卒・元マッキンゼー」の芸人だけど何か質問ある?(上)
仕事も笑いも「スタンス」から始まる!
「中途半端に学歴がある人」ほど悩ましい……
津田久資(以下、津田)東大の落研(落語研究会)出身の知人から聞いた話だけど、「落語家の世界では『師匠が触らなくていい弟子』は3%ぐらいだ」なんて言われているらしい。
2008年、経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン入社。お笑い芸人になることを志し、2009年夏に退社。
同年10月、お笑い芸人養成所ワタナベコメディスクールに11期生として入学。2011年にお笑い芸人として始動。2015年正月に「新春大売り出し!さんまのまんま」(関西テレビ・フジテレビ)で「言いづらいことを英語っぽく言う」ネタを披露。
TOEIC990点満点、英検1級。
著書に『私がマッキンゼーを辞めた理由 ——自分の人生を切り拓く決断力』(KADOKAWA)がある。
石井てる美(以下、石井)その3%というのが、一種の「天才」ということですね。
津田 うん、放っておいても「枠」を飛び越えていく連中だということ。
一方、ビジネスというのは、少なくとも「おまんま」を稼ぐというレベルであれば、「学ぶ」に徹したほうがいい部分もあるとは思う。
でも結局、その戦場を選んでしまうと、学ぶのが得意な連中、つまり学歴がある連中のほうが有利になるから、必ずどこかで頭打ちになるんですよ。
だから「考える」を選ぶほうが、大多数の人にとっては賢明だと言いたいわけです。
石井 同時に思うのは、「そこそこの秀才」が枠の外に行きたがらないという気持ちもわからないではないですね。
私も芸人になったときに痛感したんですよ。「自分みたいに中途半端に勉強ができる人間は、ふつうの日本企業で働く人生がいちばん安定してるんだろうな」って……。
私は学力的にも東大生の中では「中の下」とかだし、既存の組織の力に頼らずにのし上がれるような才覚があるかというと「ねえな……」と思うので、大企業を選ぶ人たちの気持ちってよくわかります。