突き詰めて考えると、どんな仕事もたった4つの活動から成り立っています。それは、「聞くこと」「考えること」「書くこと」「話すこと」です。では、そこに共通するスキルは何でしょうか? 新刊『外資系コンサルの3STEP思考術』の著者の森秀明が、同書のエッセンスとともに紹介します。
どんな仕事も、突き詰めて考えると、相手の話を聞いて情報をインプットする。それを自分の頭でよく考え、何らかの形で書面に残し、相手に話して、また相手からフィードバックをもらう、というサイクルの繰り返しです。つまり、仕事をすることは、「聞く」「考える」「書く」「話す」の4つの活動を正しい順番で回していくことだと言ってもよいでしょう。
すべての仕事の基本である4つの要素、聞く、考える、書く、話すという活動のサイクルがスムーズに回っていると、仕事の効率と品質、精度が上がります。それは、それぞれの活動において、事実の整理、分解、比較を行うからです。
「聞く」場合、たとえ相手の話が支離滅裂であっても、聞く側であるあなたは相手の話の中の事実を見極めて、1つずつ想像上のカードに書き込むように認識していきます。そして集まったカード群を整理、分解、比較しながら、話の筋道をつけて理解していきます。それによって、頭の中で話の流れを作りながら相手に質問することができるようになります。
「考える」場合、インプットした膨大な情報を思いつくまま、今度は実物のカードに、1事実1枚で書いていきます。これが「メモ書き」です。そして、考えを整理するために、溜まったカードを1枚のペーパーの上に系統立てて並べていきます(これを筆者は「チャラ書き」と呼んでいます)。メモ書きとチャラ書き、整理、分解、比較をそれぞれ行っているうちに、次第に考えがまとまっていきます。
「書く」場合、「考える」プロセスで書いたメモ書きやチャラ書きを、ホン書きにします。このときも同じように、頭の中では事実の整理、分解、比較を続けているはずです。「本当に正しいのか?」「確度はどのくらい高いのか?」「見落としている点はないか?」「重複している点はないか?」「矛盾している点はないか?」といったクリティカルな視点で考えながら、ホン書きとして提案書や企画書などの形に落とし込んでいきます。
「話す」場合、自分の主張したいことについて、まずは頭の中で事実を整理、分解、比較する作業をします。この作業を通じて話をまとめることで、「何をどんなふうに主張したらいいのか」が自分でも明確になり、話すことが相
手に伝わりやすくなるのです。
聞く、考える、書く、話すの根底にある本質的な要素が、整理、分解、比較であることに気がつけば、あなたの思考はよりクリアになり、仕事もより効果的に進められるようになります。