ではどうすればいいのか?
初めて学ぶときに、その知識の「成り立ち」まで含めて学ぶのである。
成り立ち、あるいは、理由まで含めて理解された知識のことを、僕は「知恵」と呼んでいる。
知恵に転化された知識は、ほかの知識と結びつきやすい。化学構造式の「結合手」にあたるものが増えて、ほかの分子・原子と結合しやすくなっているようなイメージである。
潜在的なアイデアの数が多い人というのは、それぞれの知識がこのように知恵に転化された状態で頭の中に格納されているので、より容易にほかの知識と反応するようになっているのである。
知識がない人ほど、知恵を持つチャンスは多い
新しい事象や知識に直面したときには「WHY?(なぜ?)」が欠かせない。このとき最も重要なのは、最初のWHY?である。一度、WHY?を発しさえすれば、第2・第3のWHY?が出てくる可能性は一気に高まるからだ。
ビジネスのフレームワークを学ぶにしても、これとまったく同じことが言える。「マーケティングの4P」のようなフレームワークが有効なのは、これが一定の対象をMECEに分解する補助線となるからだが、この補助線は誰かほかの人が考えたものでしかない。
たとえば、先日、研修の際に受講者の人とこんなやりとりをした。
(津田)「たとえば、4Pというフレームワークがありますよね」
(受講者)「でも、最近だと4Pじゃなくて、Packagingも含めた5Pなんですよね!」
(津田)「そうですか、では、なぜもう1つのPが増えたんですか?」
(受講者)「……知りません」
これはまさにWHY?を欠いた知的態度の典型である。もちろん「4Pか5P、どちらが正しいか?」という話をしたいわけではない。ビジネスのフレームワークは絶対的なものではないので、よりよいMECEな分け方があれば、それを採用するだけのことだ。。
しかしそれを受け入れるにしても、WHY?がなければならない。さもなくば、一度学んでしまったが最後、僕たちはその知識を飲み込んでしまう。だからこそ、どんなかたちで学ぶにしても、こう思っておいてほうがいい。
「初めて学ぶときが、知識を知恵に変える唯一無二のチャンスである」と。