学生が発した驚きのツイート
「この中でクール・ジャパンという『言葉』について、本気で考えた人はいますか? どの発表も、そのプロセスがまったく見えない。もう一度、それを見直してみよう」
1回限りのゲスト講師だということもあり、僕は思ったままのことを言いたいように言おうと決めていた。
僕の意図がしっかり伝わったのか伝わらなかったのか、たしかな手応えは何もなく、学生たちは曖昧な表情を浮かべているばかりである。
ただ、その授業はツイッターとも連動しており、特定のハッシュタグを入れたツイートが教室前方に投影される仕組みになっていた。
ふとそのタイムラインに目をやったとき、あるツイートを発見した僕は愕然とした。
「金もらって教えにきてるんだから『考えろ』とか言ってないで、早く『答え』教えろよ」
おとなしく授業を受けている学生たちも、ツイッターではけっこうな本音をぶつけてくる。その是非や表現の稚拙さはさて置くとしても……僕はあまりのショックに言葉を失った。
しかもそうした感想は、特定の不真面目な1人の学生がたまたま漏らしたものばかりではなかったのだ。表現の違いこそあれ、似たような趣旨のツイートが散見された。
そこで僕が発したのが冒頭の言葉だったというわけだ。
「君たち、ひょっとして『社会に出たら、学歴なんて関係ない』なんて思ってないか? でもね、こんな気がまえでいたら、東大卒のやつなんかには一生勝てないぞ!」
どうせ1回限りの講師なのだから、あえて波風を立てることもなかったのかもしれない。それでも僕には我慢がならなかった。
そもそも「金をもらっている」などというのは言いがかりだ。僕は1円たりとも受け取っておらず、授業のメイン講師である友人からオムライスを一度おごってもらっただけなのだから……。
この学生たちはいわゆる偏差値に限って言えば、東大生にははるかに及ばない。
無論、僕が本連載及び『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』でお伝えしているのは「もはや学歴の差などはとるに足らない」ということなのだが、彼らにしてみればずいぶんと嫌味に聞こえたことだろう。
何と言っても僕自身が東大の卒業生なのだ。「なんだあいつ、いまどき学歴を鼻にかけやがって!」くらいのことは、あとあと影で言われていても不思議ではない。