名実ともに映画音楽の第一人者に
作曲家として八面六臂の活躍

 ジョンは非常に多くの映画に楽曲を提供しています。例えば、楽しいはずの夏の海岸を巨大人食いザメが突然襲う恐怖「ジョーズ」(写真)。和訳すれば「顎」です。やはり怖いですね。音楽も恐怖を倍加させるものでした。宇宙の神秘を示す「未知との遭遇」や大人の童話「E.T.」、ハリソン・フォード扮するインディ・ジョーンズが大活躍する冒険活劇「レイダース/失われたアーク」、「ジュラシック・パーク」、「ハリー・ポッター」等々、特にジョージ・ルーカス監督とスティーヴン・スピルバーグ監督との仕事が印象に残ります。

 ジョンが担当する作品は、映像と音楽の完璧なマッチが一貫しています。映画を生き生きと引き立てる魔法の如き音楽。ジョンが凄いのは、単なる随伴音楽に留まっていないことです。映画と離れて音楽だけで作品として立派に成立しています。その好例が、現代の巨匠ズービン・メータ指揮ロサンゼルス交響楽団の音盤(写真)です。ジャケット写真で分かるとおり、この音盤は宇宙に関連する楽曲を集めたもので、ホルスト“惑星”、シュトラウス“ツァラスストラはかく語りき”、そしてジョンの“スター・ウォーズのテーマ”を収録しています。古典の一角に既に列せられているのです。

 そして、ジョンはアカデミー賞やグラミー賞の常連でもあります。

「シンドラーのリスト」(写真はサウンドトラック盤)ではアカデミー作曲賞を受賞。名手イツァーク・パールマンの泣きのヴァイオリンが胸を締め付けます。映画を離れても音楽史に残る哀愁溢れる名旋律です。技巧を凝らさぬシンプルな旋律が強靭さを生み、言葉にならない人間の感情に訴えます。悲しみ、失望、悔しさ、恨み、諦め、そして希望が合わさった複合的な感覚です。決して声高に主張するものでもありません。静かで無職透明で深い感情。そんな心模様に直裁に作用する旋律です。