為替市場におけるユーロ不安の増幅連鎖の跡をたどってみよう。図1は、脆弱化するユーロと、この間の大半の期間に買い持ち通貨の筆頭格だった豪ドルを対比している。

 まず昨年11月のギリシャ債務問題の発覚以来、市場はユーロ売りに傾斜。今年1月上旬になってもギリシャ支援措置がまとまらず、豪ドルを含むリスク通貨全般が一時失望でぐらついた。

 しかし2月以降、ギリシャ問題がいつまでも放置されるはずはなく、世界景気はサポートされるとの楽観から、豪ドルやアジア通貨、ユーロ周辺ではノルウェー・クローネなどが買い持ち通貨として選好された(図2、3)。

 もっとも、その後もユーロ圏当局の支援策は後手に回り、5月に再び不安が拡大。これら買い持ち通貨が徒となって不安が増幅された面がある。

 豪ドルやアジア通貨は対ドル、対円で反落し始めたが、図2を見ると、対ユーロで豪ドルやノルウェー・クローネの買い持ちは好パフォーマンスを持続した。しかしユーロの一段安でついに豪ドルなど買い持ち通貨へ動揺が広がり、これらポジションの巻き戻しが一気に進んだ。