一方、日本人男性の間でも、偽装結婚に関心を示す人が増え始めている。内閣府認証NPO法人 競売債務者支援協会の理事長 岡野雄一郎さんは

「改正貸金業法が施行されると、個人の借入総額が原則、年収の3分の1以下に制限される。お金が借りられなくなってしまう、と焦る相談者の中には『戸籍売買は儲かるのですか』などと尋ねる方もいます」と言う。

 80~90年代、金持ち日本人とアジア人女性との間で行われていた人身売買。日本の経済が傾いた今、多重債務者やワーキングプアが、このグローバルな貧困ビジネスに巻き込まれつつあるようだ。

安易な戸籍ビジネスの危険すぎる罠

 だが、被害を受けるのはほんとうに女性だけなのだろうか。

 偽装結婚に限らず、戸籍ビジネスに巻き込まれ追い詰められる人々も少なくないようだ。

「亡くなったホームレスの方の死亡届を出そうと、役所に行って驚いたことがあります。その方の死亡届は、とっくの昔に提出されている、というんですよ。つまり、以前その方は何らかの理由で戸籍を売り払い、買い取った方はそれを利用した後、死んだことにした、というわけです」

 こう明かすのは、あるホームレス支援活動家だ。後で死亡届を出さなければならない“用途”が何だったのかは不明だが、戸籍上、死んでしまったことになれば、社会のまっとうな構成員として認められなくなってしまう。もちろん、社会保障も受けられない。

 また、別の事情通は次のように話す。

「買い取った戸籍の使い道はいろいろあるようです。たとえば、それを使って、借金を繰り返す。海外に逃亡する際にこうした戸籍が使われることもあります。

 犠牲になりやすいのは、家出人やホームレス。すでに亡くなった人の戸籍をブローカーが遺族から買い取るパターンもあります。中には、病院に張り込み、亡くなるのを待つ場合も。最近では自殺志願者が進んで戸籍を売り、借り入れたお金を半分もらって、それを遺族に残す場合もあるようです」