「ノウハウ」「フレームワーク」は厳選して使いこなす
「企業本」だけでなく、「ノウハウ本」「フレームワーク本」にも事例はさまざまあり、面白いファクトが見つかることでしょう。ただやはり、「ノウハウ本」からは有益なノウハウを、「フレームワーク本」からは実践的なフレームワークを抽出したいもの。
でも、なんでもかんでもでは失敗します。そこでの割り切りは「ひとつだけ」です。ノウハウ・自己啓発本は、『7つの習慣』とかそのノウハウ数を挙げるのが好きなのですが、最近はちとインフレ気味です。「10の理由」「15の習慣」「46のルール」「50のアイデア」「66のルール」「100の言葉」「122のアイデア」……。
1冊の本から、新しく自分の身につけられる習慣やスキルなど、せいぜいひとつか2つでしょう。斜め読みして、「心に残るひとつ」を選びましょう。
フレームワークはなおさらです。フレームワーク(手順や枠組み)があれば、とりあえず考えをスタートできます。ビジネス戦略のための「5W1H」、改善活動のための「PDCA」、マーケティングのための「プロダクト・ライフサイクル」。みな、先人たちの生み出した偉大な分析・思考の手順や枠組みです。
でも使いこなせなければ、なんの意味もありません。フレームワークは、ノウハウと違って体系的・総合的なものです。車でいえば、運転方法の体系(走り方、止まり方、曲がり方、安全確保の仕方、高速走行の仕方など)、がフレームワークで、格好いい曲がり方、スマートな乗り降り方、がノウハウです。
運転方法のフレームワークを、ただ知っていてもそれだけの話ですが、もし使いこなせるなら、人に車の運転を上手に教えることができるでしょう。でもそうなるには、そのフレームワークを何度も使って自分の「技」にしなくてはなりません。だからやっぱり「ひとつだけ」です。自分の役に立ちそうな、たったひとつを選ぶのです。
究極の割り切り斜め読み法──「序章と図だけ読む」
時間のないとき、私がやっているビジネス応用セグメントでの読み方は、「序章と図だけ読む」です。本にもよりますが、海外のビジネス書は大抵、序章に全体の要約が載っています。まずはそれをじっくり読みましょう(この本もそうしています)。
そして、ダイジなことは本文中で、必ず図や表になっています。パラパラめくって図表を探し、それをじっくり眺めます。図表だけ見て、その内容や意味がわかればヨシ。良い本です。わからないかもしれません。そうしたらその周辺の小見出しを読んでみましょう。それでもわからなければ、あきらめましょう。次の図表へゴー、です。
30分もあれば、かなり厚いビジネス書でも読み切れます。斜め読みというよりスキップ読みですが、たぶんこれで大丈夫です。
■「ビジネス応用」の目的と読み方
【目的】新しい内容を効率よく集める。特にファクト
【形態】紙でも電子でも
【読書方法】粗読みか斜め読み。「序章と図だけ読む」作戦も有効
【読む場所】どこでもいいが通勤中が効率的か
【記録方法】抽出部分をあとで検索しやすいよう書き出すか、PDF化して文字認識させておく
(第5回に続く)