フレームワークは、使いこなせなければ意味がない。使いこなすためには、ひとつのフレームワークを何度も使って自分の「技」にすること。新刊『戦略読書』から一部を抜粋して紹介する連載第4回は、「読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM)」のセグメント2「ビジネス応用」。ビジネス書を実際に使いこなすためには、どのような読み方が効果的なのか?

セグメント2「ビジネス応用」
「基礎」があれば、粗読みや斜め読みが効率的にできる

 前回は、「読書ポートフォリオ・マトリクス(RPM)」(詳しくは第2回参照)の左下、セグメント1の「ビジネス基礎」の読み方を紹介しましたが、今回は左上のセグメント2の「ビジネス応用」の効果的な読み方について解説します。

〔出所:『戦略読書』三谷宏治〕

 しっかりした基礎さえあれば、その上にどんな建物を築くも自由です。読書だと、基礎ができると急に「粗読み」「斜め読み」が上手にできるようになります。いわゆる速読ではありません。自分にとって有用な部分だけを、抽出する読書方法です。

「粗読み」は決め打ちです。ある情報があるかないかを、目次で確認した上でパラパラめくりながらチェックしていきます。見つかればよし、見つからなければあきらめます。何かキーワードがあって電子版なら、検索するのも良いでしょう。

「斜め読み」は逆に、決め打ちせずに読み流します。端から端まで軽く通読する中で、引っかかる何かを待つのです。自分が持っている常識や、過去に読んだ内容や、そういったものと反する何かを見つけ出しましょう。

 ビジネス系の本は「企業本」「ノウハウ本」「フレームワーク本」の3つに分かれます。ただ、どんな本にしても、新しいことばかりで100%埋め尽くすことはありません。そんな書き方をしたら、あまりに高度で専門的になってしまい、読者を限定しすぎるからです。

 これまでも世の中に知られていることをベースに、新しい内容を位置づけ、解説していくのが、ビジネス系の本の造りです。そしてその新しい内容は、印象づけるために何度も登場し、いろいろな事例で説明していきます。

・本(200頁)= 既知の知識100頁 +(新規の知識20頁×5回)

 つまり正味の「新しい内容」は、全体の10%ほどに過ぎないということなのです。まずは、それを斜め読みで抽出します。基礎ができていれば、それはほとんど自動的にできるでしょう。