3万部を突破した『ずるい暗記術』。年末年始になると、センター試験の追い込みをしている学生さんも多いのではないでしょうか。かくいう著者も、2ヵ月という短期間で、目標を達成しました。短期間で効率よく覚えて思い出すためのノウハウを本書から一部抜粋し、試験まで時間のない方がたのための勉強法をご紹介していきます。
今回は、試験直前ならではの勉強法。テスト対策に打って付けです。

記憶を引き出すためのトレーニング方法

 これは、記憶を引き出すためのトレーニング方法です。

 今やっている問題集や参考書を1ページ1秒くらいの速さでめくって見ていきます。

 いわゆる速読術とは違い、「読む」のではなく、「見る」作業です。

「見て思い出す」というアウトプットに加え、1ページ1秒の速さで一冊めくることによって、その本の全体の内容を一気につかむのです。見てすぐに思い出せなかったもの、つまり理解できていないところが明確化するという利点もあります。

 時間をかけて全部の勉強をするよりも、わからないところだけを取り出して集中的にやればよいので、勉強時間も短くてすみます。

連載第3回(本書では序章)でお話しした「ウォーリーをさがせ!」を覚えてますか? たくさんの情報の中から、手がかりのない状態で探すのではなく、ウォーリー(大事な論点・疑問点)をあらかじめピックアップするのです。

では、具体的なやり方を説明しましょう。

 本書で詳しく説明していますが、重要なワードをすでにマークしていると思います。そのワードが太字になっているもの、あるいは自分でマーカーなどで印をつけた問題集か参考書を用意します。複数冊やる必要はなく、1冊だけでじゅうぶんです。

 勉強する時間帯は朝、頭のクリアなときがベストです。1ページにつき太字やマーカーをつけた1ワード、1秒を目安にパラパラとめくっていきます。必ずしも順番通りに見なくてもかまいません。めくりやすいように、紙めくり用の指サックなどを使うのがおすすめです。

 わからないところが出てきても、めくる流れは止めず、その場でサッとマークするか付箋をつけ、最後まで一気にめくります。そして、そのわからなかったところを、その日の勉強課題にします。

 わかるわからないの判断基準は、まず、そのワードを知っていること。次に、その言葉の意味を知っているか、人名だったら肩書きが思い出せること。さらに、関連するワードが絵のようにパッと思い浮かぶこと、の3段階です。

 1秒という短い時間なので、最後の段階までいくのはなかなか難しいですが、ここまでいくことができれば、実際の試験でも問題の1ワードを見ただけで、パッと答えが思い浮かぶようになります。

 そう、これは、スピードを意識し、考えずに思い出す訓練でもあるのです。

 重要なワードがなるべくたくさん載っている1冊を試験会場に持っていき、直前に1ページ1秒でパラパラ見ておけば、怒涛のように記憶が引き出されるのです。