当初は運用額1・5兆円規模の計画で創生されたファンド「ノービル」についても「新規投資の着手を検討中」としているが、投資家からは当初予定の5分の1程度の700億円規模の資金を集めた段階でストップ。「短期で運用益が見込めるマンション投資も検討したが、購入直前で外国人投資家に否認された」(関係者)。物件完成後にダヴィンチ側が引き取る契約を結んでいた不動産開発業者などとの違約金は、少なくとも1件当たり数十億円規模で6~7件(係争中を含む)はあるといわれる。

新規スポンサーを探すも
社長退任で行く末不透明

 失敗の原因は何か。08年9月のリーマンショック以降の不動産市況の激変が直接の引き金だが、傷口を大きく広げた要因は明らか。「ケタが違う」と同業者が驚く価格で物件を高値づかみしたことだ。

 基本的な不動産ファンドのビジネスモデルとは、安く購入した不動産物件を改修したり、賃料を上げるなどして不動産価値を高め、一定期間で高値で売ってリターンを得るという方法である。

 ダヴィンチも基本的には同じ。ただ、投資家に対し25%という高い利回りを約束したゆえに、強気だった。物件購入時に購入資金の7~9割を金融機関から借り入れる一方、投資家や自らの出資分を少なくして高リターンを得る「高レバレッジ取引」を繰り返した。

 ところが、こうした高い運用実績は、結果的に自らの首を絞めることになる。資金が集まるほど新規投資先が必要となり、大物狙いで競争も激しくなり、高値づかみせざるをえなくなったからだ。専門の弁護士を抱え、店子を提訴して賃料を引き上げることも日常茶飯事だった。

 実際に、ある関係者は「通常の不動産ファンドなら、周囲の賃料や市況などを調査し、多くの関係者で議論して物件の入札金額を決める。だが、ダヴィンチでは、数人の購入担当チームの判断で決定し、金額もCIO(最高情報責任者)と購入担当者などによる3~4人の投資委員会で決めた最高価格の金額をそのまま入札していた。金子社長はカネを集めるのが専門で投資判断にはほとんどかかわっていなかった」と証言する。

 むろん、こういう強気な手法はリーマンショックですべてが崩壊した。

 ダヴィンチは、新規のスポンサー探しを表明しており「6月中にも中国系投資家が決まる」(業界関係者)という情報もある。だが、金子社長の退任が予定されるなか、「整理が前提のスポンサー探しでは」と見る人は少なくなく、行く末は不透明だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子、山本猛嗣)

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