「サンデージャポン」「人生の深イイ話!」にも出演で話題沸騰。「かわいすぎる女子高生社長」として注目されている椎木里佳さん。パパは「鷹の爪」で有名なコンテンツ会社「ディー・エル・イー」の椎木隆太社長です。
本連載は、2月1日にダイヤモンド社から発売される『女子高生社長、経営を学ぶ』の中から一部をご紹介します。
今回は「TGC(東京ガールズコレクション)」の権利を買収した事例をもとに、強いコンテンツとは何か、長く続くビジネスとは何かを学びます。
(取材・構成:佐藤智、竹村俊介、撮影:小川孝行)
ビジネスとクリエイティブを両立させよ
パパ 継続させるためには、ビジネスとクリエイティブが連動しなきゃいけない。でも、ビジネスとクリエイティブって、水と油で相反するものだよね。それを仲良く追い続けなきゃいけないっていう難しさは、すごくあるよね。
里佳 ビジネスとクリエイティブかぁ。
パパ お互い理解できない部分って、どうしてもある。でも、やっぱりそこを仲良くやる。ようするにチームを作るということが重要で。お互い信頼して、相手あっての自分たちなのだと理解すること。
クリエイターとプロデューサーがうまくいかなくて現場が崩壊するプロジェクトって、意外と多いからね。
里佳 お互い仲良くやりましょうと。
パパ そう。幼稚な表現になっちゃうけど、そういうことだね。
里佳 いま「流行り廃り」ってすごい早いよね? このキャラ流行ったけど、いまは古いとか。だけど、パパが「長く親しまれるもの」にこだわったのはどうして? どんどん新しいもの作ればいいじゃんってならなかったわけ?
パパ 暗黒の三年間、コンサル業をやってるなかで、ハズブロさんとかとよく話をしたんだ。
里佳 ハズブロ?
パパ アメリカの有名なおもちゃメーカーね。で、そのハズブロの人たちが、日本のマーケティングに対して、「なんでこんな状況なんだ!」って憤ってて。
「ベイブレード」とか「ビーダマン」とかが、日本でワーッと流行って、テレビ番組とかが始まるよね。で、普通それが1〜2年ぐらい続くんだけど、視聴率が下がったり、あるいは視聴率が下がってなくても、おもちゃの売上が下がり始めてビジネスに黄色信号が灯ると、時期を見て番組もおもちゃも打ち切りにしちゃう。で、別の新しいテレビ番組が始まっちゃう。そのときに、アメリカの人たちは困っちゃうんだよ。
里佳 なんで?
パパ アメリカ全土って広いから、めちゃくちゃマーケティングコストがかかるのね。人口も多いし。だから、ものすごくコストをかけてブランディングしていく。そうやって知名度が上がったブランドは、ものすごく大切にするんだ。なのに、2年かそこらで「ハイ、次」って切り替わっちゃったら「こんなのについていけないよ」って思うのも無理はない。
里佳 ふーん、こんなにコロコロ変わるのは日本の勝手なのか。
パパ 「テレビの視聴率が下がってきたから」とか「おもちゃが売れないから」って、作り手の一方的なロジックでしょ? ファンはまだいるのに、もったいない。
本来はもっとなだらかに人気や売上も落ちていくはずなのに、打ち切ることでガクンって突然なくなってしまう。テレビで放送終了した時点で、パタッてなにもなかったかのようにブームが終わる。世の中から消えちゃう。
「鷹の爪」が当初から意識していたのは「寅さん」
里佳 もし、自分がまだファンだったら、突然打ち切りなんてイヤだよね。
パパ うん。ただ、すべてテレビに頼っていたら、こういうことは今後も起こりうるんだけど、いまはネットの時代だから。仕掛け側の熱意や覚悟さえあれば、ネットの時代にパタッて終わるっていうことは起こりにくい。
これからの時代は、アメリカのようにコンテンツを大事にしながら、ゆっくり落ちていく、あるいはなにかをきっかけに落ちてきたけれど、またボーンと上がって、またヒューッと落ちてきて、またヒュンって上がるみたいなことが起きうるんじゃないかな。
里佳 「隠れファン」とか「私だけはずっと魅力わかってます」的なファンもいるもんね。
パパ そうだね。一回築いたブランドを大事にするっていうコンセプトは、今後重要なんじゃないかな。
テレビが主流で、ドライにやってきたことを考え直す時期にきてる。かたや「寅さん」とかは、ずっとやっていて、偉大なるマンネリのなかで、すごい存在感もあるわけだ。愛すべきものを生み出して、それを多くの人が楽しみにしているってすごいよね。キャラクターとかアニメーションでも、そんな感覚ができたらいいなと考えてるんだ。
里佳 アニメで「寅さん的な存在」を?
パパ そう。「鷹の爪」は超初期のころから「寅さん」を意識してたんだ。
ネットの時代にパタッて止まるのは、作り手側がコンテンツを作り続けていればありえない。YouTubeで新作をやり続ける限り、そこまでの人気でなくても続けられる。もちろん「テレビでやっていたのが、今やYouTubeか、落ちぶれたな」なんて言われるのかもしれないけど。でも、絶対に作り手側が止めなければ終わりはない。
里佳 自分たちが諦めなければ、まだまだ可能性があるってことなのか。
パパ そう。コンテンツオーナーが自分たちで商品のライフタイムを決められるというのが、いまの時代だと思うんだ。
里佳 「鷹の爪」も「寅さん」みたいに長ーく愛されるといいね。
※明日に続きます