理由2.新たな消費人口の出現(消費市場としての魅力)
ミャンマーの人口は約5000万人超で、ASEAN諸国の中では、第4位のタイに次ぐ人口規模を有する(図表1-10)。日系企業がすでに多く集積しているタイの真隣にあるにもかかわらず、軍政時代には、その未開の市場にアクセスすることができなかった。経済発展からとり残されていた大きな成長余力のある市場が、ミャンマーにおける政治経済改革を機に忽然と姿を現した。その結果、各国企業が我先にと殺到することになったのだ。
大規模な人口と併せて重要になるのが、図表1-11にある各国の一人当たりGDPだ。2015年時点ではタイのおよそ4分の1程度と推定されている。人口についてはUN Department of Economic and Social Affairsの推定によれば、2068年に人口が現在のタイと同レベルになる。もし、このころに一人当たりGDPも現在のタイと同水準まで上がるとすると、約50年後には現在のタイと同水準の巨大な市場に育つことになる。具体的には、現在との比較でGDPが約6倍、3000億米ドル増加するポテンシャルがあるということになる。その場合、年平均成長率は約3.3%となり、非現実的な想定ではないといえそうだ。
別の観点からいえば、2008年時点でのミャンマーの一人当たりGDPが日本でいえば、1957年の数値とほぼ同じであることからも、今後のポテンシャルの大きさが想像できる(アンガス・マディスン教授による、紀元1年から2030年までのGDPの予測に基づく)。ちなみに1957年は神武景気の最中で、いわゆる三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)がもてはやされたころだ。