理由3.地政学的な重要性

 ミャンマーの国土面積は約68万km2と日本の約1.8倍の広さを有しており、タイ、中国、インド、バングラデシュ、ラオスの5ヵ国と国境を接している。地政学的な重要性については、域内の大国であるタイと隣接していることに加えて、アジアの2大国である中国及びインドと国境を接しており、古来重要な戦略的要衝として位置付けられてきたことからもうかがえる。
 特に2015年現在、中国政府はマラッカ海峡を通らずにインド洋へのアクセスを確保すべく、雲南省からの幹線道路やパイプラインの建設援助を国家戦略として進めている。また「東西回廊」や「南部回廊」といったインドシナ諸国を横断的につなぐ道路の建設が行われている。これが完成した暁には、ミャンマーがよりASEANの他の国と一体化した経済圏を構成することになり、地域的な役割は一層増すだろう。
 日系企業にとっても、東南アジア市場における安価な製造拠点のみならず、将来的に中国内陸部へのアクセスの増加やインドを視野に入れた展開等、より幅広い市場展開を見据えた拠点としての可能性を秘めている。

理由4.豊富な天然資源

 ミャンマーは、ベースメタル(銅、鉛、亜鉛、錫)、レアメタル(アンチモン、タングステン、ニッケル等)、宝石類等の豊富な天然資源に恵まれている。特に、アンチモン、錫、タングステンといった鉱石は世界的に見ても上位の生産量だ(図表1-12)。こうした天然資源が、今まで十分に開発されずに眠っている。


 また、天然ガスは、ミャンマーにおいて貴重な外貨獲得手段として、重要な役割を担ってきた。現段階において確認されている埋蔵量は、隣国のタイと同程度だが、今後開発が進めば、より埋蔵量も増えると予想されている(図表1-13)。

下記(図表1-14)がミャンマーの業種別の外国投資認可額だが、石油開発や鉱山が主要な海外からの投資先対象としても位置付けられていることが見て取れる。