賛美歌の如きサイモン&ガーファンクルの“明日に架ける橋”とは全く違うスタイルです。日頃は悪態をついているストーンズが神妙に友を歌う姿故に、真実味が増します。

 “友を待つ”は実は最初の録音から完成までにほぼ10年を要しています。最初は73年発表の「山羊の頭のスープ」のために録音されていましたが完成することなく、埋もれていました。81年の「刺青の男」制作中に、未発表の昔のテープの中に未完成のこの原曲を発見したジャガーが昔の基本トラックの上にヴォーカルを重ねています。そして、この曲を輝かせているのが、伝説のテナー・サックス奏者ソニー・ロリンズの参加です(写真は代表作「サキソフォン・コロッサス」)。ロリンズが吹くテナーとジャガーのファルセットヴォイスが溶け合って渋く深く友を語り合います。

19歳のブラームスの経験した
出会いと別れ、友情が結集

◆ブラームス “ピアノ協奏曲第1番”

 今でこそ、ブラームスと言えば、音楽の歴史において屹立した存在です。

 良くお目にかかる肖像も威厳に満ちた髭と恰幅のよい体躯で、クラシック音楽の権威を体現しているかのような印象を与えます。

 しかし、数多いる音楽史の偉人の中でもブラームスほどドラマチックな青春を送った作曲家はそうはいません。19歳の無名のブラームス青年が経験した出会いと別れ、そして友情が結集しているのが、「ピアノ協奏曲第1番」です(写真は、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル、クリスティン・ツィマーマン盤)。

 貧しい家庭に生まれ育ったブラームスが故郷の港町ハンブルグを出て、半年に及ぶ音楽武者修行に出たのが19歳の春です。二つの出会いがあります

 最初の出会いが、ヴァイオリン奏者にして指揮者のヨーゼフ・ヨアヒムです。既に名を成していたヨアヒム、当時全く無名のブラームスの凄い才能は直ぐに見抜き、有形無形の支援をします。大御所リストを紹介したり、ゲッティンゲン大学での2ヵ月間の学園生活の機会を与えたりします。