ベルギーの首都ブリュッセルで22日朝に発生した連続爆弾テロ事件。これまでに少なくとも31人が死亡、300人以上が負傷しており、EUやNATOの関連施設も多い「欧州の首都」は一転して厳戒態勢が敷かれることになった。同時に、ベルギーのテロ対策の甘さを指摘する厳しい声も出始めている。(取材・文/ジャーナリスト 仲野博文)
30人以上の命を奪った爆弾テロ
「欧州の首都」が厳戒態勢に
ベルギーの首都ブリュッセルで22日、空港と地下鉄駅の2ヵ所で連続して爆発が発生し、少なくとも31人が死亡し、300人以上が負傷する大惨事となった。これらの爆発で、2人の日本人も重軽傷を負っている。ブリュッセル空港で二度の爆発が発生したのが、現地時間の22日午前8時ごろ。爆発のあった空港内のターミナルビルは激しく損傷しており、少なくとも一回の爆発ではスーツケース爆弾が使用された可能性が指摘されている。現場では爆弾が取り付けられたベストや自動小銃も発見されている。1時間後の午前9時過ぎには、ブリュッセル市内中心部、EU本部に近い地下鉄のマールベーク駅で、発車直後の地下鉄で爆発が起こった。
事件発生から間もなくして、ベルギー政府はテロの警戒水準を最高レベルの4まで引き上げ、ブリュッセル市内の公共交通機関はストップし、国内の原子力発電所でもほとんどの職員に対して避難指示が出され、市民は極力外出を控えるよう伝えられた。ブリュッセル在住のジュリー・タイレルさんは、「こういったテロの可能性は以前から語られていたものの、実際に町の機能が全てストップしている光景に驚きを隠せません。今はメッセンジャーなどを使って家族や友人の無事を1人ずつ確認しています」と語った。
事件発生後、IS(通称:イスラム国)と繋がりがあるとされるニュースサイトがISの関与を伝えており、事実上の犯行声明とみられる。ベルギーの警察当局は空港の防犯カメラがとらえた3人の男性の写真を公表。3人のうち2人は自爆したとみられ、当局は残る1名の情報を市民に求めている。