「リハビリ」と「発達」は
何が違うのか?
靴を履くと、「発達」が助けられます。
「リハビリ」と「発達」は異なります。
たとえば、動いていた足が動かなくなり、それを元どおり歩けるようにするのが「リハビリ」です。
一方、どう足を動かせば歩けるのか、歩いたことのない赤ちゃんが歩くようになるのが「発達」です。
(Kisou Kubota)1932年生まれ。医学博士、京都大学名誉教授。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。『ランニングと脳』『天才脳をつくる0歳教育』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』など著書多数。
そのための働きかけに対するいい言葉がないので、私は「開発の手助け」と呼んでいますが、もっといい言葉がほしいところです。
≪競博士のひと言≫
歩くときに、脳が働いていることがわかってきたのは、比較的最近のことです。次の3点を私自身が報告しました。
2001年に、歩いているときに足の運動野(4野)が働くことを初めて報告。
2004年には、歩くスピードを速くすると、足の運動野だけでなく、足の運動前野(6野)も働くことを報告しました。
最後に、運動野が壊れて歩けなくなったとき(脳梗塞など)にリハビリをすると、運動前野(6野)が働いて歩けるようになることも報告しました。
脳の一部が壊れても、リハビリで別の領域が働いてよくなるという発見は、リハビリテーション医学への大きな貢献です(→久保田競+宮井一郎編著『脳から見たリハビリ治療』〈講談社〉参照)。