一生のうちに一度も病院に行かないという人は、いないでしょう。それだけに、医療機関のランキングは読者の皆さんの関心も高く、小誌の定番企画となっています。
今号では、過去最多となる全国1218病院について、公表データとアンケート回答を基に「頼れる病院」の順位付けをし、都道府県別にまとめました。巷に溢れる病院ランキングの多くは、手術数などの治療実績のみで評価していますが、小誌ランキングの特徴は経営状況も含めた9つの指標で評価している点にあります。
「医療の質」と「経営・財務の安定性」が不可分の関係にあることを考えれば、納得性の高いランキングになっていると自負しています。
また例年、各都道府県のトップ層には大学病院が居並びますが、今回は総じて民間病院の健闘が目立ちます。民間病院の多くは財務データを公開していませんので、ランキングに掲載されている民間病院は情報開示にも積極的な病院と言えるでしょう。
一方で、下位層は昨年同様、自治体病院が独占しています。医師不足などで診療機能が維持できず、収益も悪化するという医療崩壊の悪循環から脱することができるのか、必死の取り組みもレポートしています。ぜひ、身近な病院の評価や現況をチェックしてみてください。
このほか必見は、利用者(患者)の立場に立ったお役立ち情報の数々。「医療費節約の10箇条」や「主治医選びのポイント」「専門外来(特定の症状や病気に対して専門的な検査や治療を行う外来診療のこと。頭痛外来や物忘れ外来、めまい外来など病院によって多彩)の使いこなし術」「医師への謝礼は入院時に支払うべきか否か」「保険診療と併用できる先進医療一覧」「健康保険組合の保険料率の行方」……など、気になる情報が満載です。
また、病院や医師が使い分けるオモテとウラの顔が垣間見える「覆面看護師座談会」もご一読ください。看護師さんたちが天使のような笑顔で日々の激務をこなしながら、冷徹に見通している医療現場の現実だけに、説得力は十分。アツ~いこの季節でも、背筋にスーッと寒気が走ります。
お盆休みに鋭気を養いつつ、イザというときの病院選びのため、ゆっくり熟読をオススメいたします。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 柴田むつみ)