2011年3月期を最終年度に設定した中期経営計画の達成を断念した三菱地所。「丸の内以外を伸ばすことで成長する」という高いハードルを、いかに飛び越えるのか。木村社長に聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)
三菱地所社長 木村惠司
Photo by Masato Kato
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─2010年3月期は“次の柱”としている住宅事業と資産開発事業で巨額損失を計上した。
投資を一気に加速していたところに、リーマンショックのダメージを受けた。資産開発事業でテナントや投資家需要を見ず開発を先行させたり、需要と乖離した住宅価格を設定したりしたことが原因だ。これから成長を目指して前向きに再出発するため、ここであえて一括して損失を計上した。
─二つの事業をどう立て直すか。
住宅事業では、来年1月に藤和不動産などと統合事業会社「三菱地所レジデンス」を設立する。販売戸数で日本トップのスケールメリットを生かしたコストダウンや、藤和の製販一体の体制や人材、当社の高級物件の販売ノウハウなど、それぞれの強みを持った事業展開が期待できる。顧客目線できちんと利益を上げられる事業を目指す。
資産開発事業では投資を厳選し、さらに開発から売却までの期間が短い中規模プロジェクトを増やす。厳しい環境を経験し、部門に横串を通して意思決定を行う体制もできた。以前のように一部門が独走することが減り、“横のチームワーク”も取れるようになってきた。