「足場が崩れる可能性」も考えているか?

金利はいかなる場合も資金の出し手(投資家)が決める。なぜ投資家が金利を決めるのかといえば、投資家は出したお金が返ってこなくなるリスクをとっているからだ。

このときのリスクをダウンサイド・リスクと呼ぶ。投資家はこのリスクが大きければ大きいほど高い金利を要求する。一定のリスクに対して見返り(プレミアム)として求められる金利のことをリスクプレミアムという。

なぜこんな回りくどい言い方をするのかといえば、リスクプレミアムだけで金利が決まるわけではないからだ。金利は次の2つで決まる。

金利 = リスクフリーレート + リスクプレミアム

リスクフリーレートとは、文字どおり、リスクフリーな資産(無リスク資産)の金利のことだ。これは要するに、国債の金利のことである。たとえば、P社社債のリスクプレミアムが6%で、P社が存在している国の国債金利が1%のとき、投資家はこの社債に7%の金利を要求することになる。

では、なぜ国債が無リスク投資だと考えられるのだろうか?

たとえば、日本企業P社が国内で経済活動をする場合、P社そのものが破綻するリスクだけでなく、その「足場」である日本経済もろとも破綻するリスクも考える必要があるからだ。国そのものが破綻するリスクは、国債に対して国民が求める見返り(プレミアム)として表現される。言ってみれば、足場の高さも考慮に入れるわけだ。

当然ながら、世界には「無リスク」からはほど遠い国債がたくさん存在している。日本の国債利回りは0.5%程度(2016年のマイナス金利導入直前)と主要国の中でいちばん低いが、債務不履行に陥ったアルゼンチン債や、昨今のギリシャ債はリスクフリーとはおよそ呼べないだろう。

いずれにしろ、これはファイナンス理論における、ある種の約束事だとしか言いようがない。知識を整理したい人のために例題を考えてみよう。

【問題】
消費者金融Q社では、100人の顧客に対して、7人の割合で返済が滞ることがわかっている。
国債金利が0.5%のとき、何%で貸し出せばいいか?