「その戦略はハイリスク・ハイリターンだ」「事業ポートフォリオを見直そう」「レバレッジをかけてみよう」――ふだん耳にするこれらの言葉は、ファイナンスの用語でもある。

そもそもこれらにはどんな意味があるのだろうか?早くも3刷の重版が決まったファイナンス理論の入門書『あれか、これか』のなかから紹介していこう。

レバレッジ、ポートフォリオ、ハイリスク…<br />知っているようで知らない言葉たち

人様のお金は「てこ」に似ている

前回はMM理論の第2命題の核心が、いわゆる「ハイリスク・ハイリターンの法則」であるということを見てきた。今回はそれを、もう少し別の角度から見ていくことにしよう。

▼前回記事
「いつも70点」と「たまに100点」
本当に優秀な子はどっち?
https://diamond.jp/articles/-/90229

まず考えてみてほしいのが、リスク・リターン平面だ。横軸にリスク(変動率の標準偏差)、縦軸に期待リターンをとった座標平面を用意しよう。

ごく単純化した投資空間を想定し、国債と株式Gという2つの金融商品だけが存在しているとする。手元資金は100万円だ。

リスクフリーレート(無リスク金利≒国債金利)が1%のとき、100万円をすべて国債購入に充てれば、あなたの投資ポジションはこの平面中の点oに位置することになる。

一方、1株100万円の株式Gは、リスク10%・期待リターン5%(配当予想5万円)である。これに100万円全額をつぎ込んだ場合、あなたの投資ポジションは「株式G×1株」になる。

レバレッジ、ポートフォリオ、ハイリスク…<br />知っているようで知らない言葉たち

世界にこの2つの商品しかない以上、このほかの投資はあり得ない。