上司が部下に、先輩が後輩に対して、注意をする行為はとてもエネルギーを使います。たとえ正しかったとしても、人間関係が気まずくなる可能性があるからです。だったら、放っておこうとするのは、後々のことを考えると、やはりそのとき言うべきでしょう。声と話し方で、この厄介な問題を解決しましょう。
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注意するときは、申し訳なさそうに!
仕事のなかで、相手に意見を言ったり、間違いを指摘したり、依頼を断ったりする必要に迫られる場面があるかもしれません。
相手に注意するときの上手な言い方や声の使い方を考えてみましょう。
まず相手が上司や取引先など、自分より上の立場だった場合。これはなかなか言いにくいですよね。
そんなときは、クッション言葉を上手に使いましょう。クッション言葉とは、伝えたい言葉の前に入れて、表現を和らげるための言葉です。
「恐れ入りますが」
「申し訳ありませんが」
「大変恐縮ですが」
「考え違いだったらすみませんが」
「申し上げにくいことなのですが」
「失礼なことかもしれませんが」
こういった言葉を頭に置いてから、本来伝えたい言葉を切り出すのです。
たとえば、「こちらの製品にお手を触れるのはご遠慮ください」だけではキツい印象を受けますが、クッション言葉をつけて「大変恐れ入りますが、こちらの製品にお手を触れるのはご遠慮ください」と伝えれば、印象はだいぶ柔らかくなります。
注意される側としても、発言を受け止める準備ができるので、その後に続く意見や注意についても耳を傾けやすくなります。
あくまでも口調は穏やかに、申し訳なさそうに言うところがポイントです。また、事実を指摘するだけでなく、最後に解決策の提案もあわせて行えればベストですね。
目下の人に対しては「カキクケコ」で
会社で部下や後輩を持っている人なら、叱ったり注意したりする場面は多いでしょう。部下や後輩に対してはどのように言えばいいのでしょうか。
私もスクールを経営しているので、スタッフさんたちにはこの方法で注意をします。
この場合、「カキクケコ」に注意して話すようにしてください。
- カ:カッ!とならない
- キ:気づかせる
- ク:口調は穏やかに
- ケ:けなさずに
- コ:今後どうするか
つまり、カッとなっていきなり頭ごなしに叱るようなことをしてはダメ。あくまでも口調は穏やかに、落ち着いた調子で話すことが大切です。
話を切り出す際には、
「今、ちょっといい?」
「言いにくいんだけど、聞いてくれるかな?」
という前置きを置いてから、さらにクッション言葉を使って、
「私の勘違いだったら申し訳ないんだけど」
「一つだけ注意しておきたいんだけど」
などと本題に入っていきます。
話をするときには、相手をけなしたりせずに事実を指摘することを意識します。また、話す内容はクドクドと長くならないように、できるだけ簡潔にするといいでしょう。ねちっこく話せば理解してくれるというものではありません。
そして最後は、今後どうするかを話し合って前向きに終わります。このときには、明るいトーンで話すようにすると、相手は注意されたことを引きずらずにすみます。
途中、一方的にワーッとしゃべるのではなく、相手の話を聞いてあげることも大切です。
その際、ところどころ時間を取って、あえて沈黙するという方法も効果的です。
沈黙している間に、相手はこちらが言った言葉を反芻し、理解しようとしてくれます。
時には解決策を自分で見つけ出してくれることもあります。