ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

「今日、マネジメントの最大の社会的責任は、一般人、すなわち企業の外にあって企業について何も知らない教育ある人たちが、企業は何を行い、何を行うことができ、何を行うべきであるかを理解できるようにすることである」(ドラッカー名著集(6)『創造する経営者』)

 ドラッカーは、不祥事について多くを語らない。その目線ははるかに高い。今日、企業で働く知識労働者は、産業社会においてリーダー的な階層にあるという。

 そして、ドラッカーは、リーダー的な階層に属する知識労働者には、自らの直面する課題を超えた責任があるという。それが、産業社会の仕組みと働きを広く知ってもらうことである。

 たとえ、欠陥だらけだとしても、いまだにそれを超える社会が見つかっていないからには、産業社会というものがどのようなものであるかは、広く常識として知られなければならない。

 ドラッカーは、企業家精神を発揮して堂々と経営し、それを広く知ってもらうことが、企業に働く者にとっての最大の社会的責任であるという。

「企業家精神が体系として提示され、経済的な成果のために資源を体系的に利用できたとき、教育ある素人たちも、産業社会における経済的機関としての企業が行おうとしていることを理解し、行っていることに敬意を払うようになる。

 そのとき初めて、社会にとって企業活動が当然の活動とされ、企業の経営幹部の貢献が世に理解されるようになる」(『創造する経営者』)