ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』)、ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)、アダム・グラント(『GIVE&TAKE』)絶賛!さらに、NYタイムズ、ブルームバーグ・ビジネスウィーク、パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌で絶賛された世界的ベストセラー『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』。
グーグル、IDEO、ネットフリックス、パタゴニアなど、世界で最も革新的な企業で次々と爆発的な発想を生み続けている「驚愕の思考法」とは?
本連載では、「たった1行の問い」から「非凡な思考」を次々と生んでいく画期的な方法について、書籍『Q思考』から紹介していきます。
「既視感の逆」で、見たことのあるものが新鮮に見えてくる
一歩下がって考えると何が見えるのだろうか?目にする現実や状況が本質的に変わるわけではないのだが、距離を置くことで、思考法を変える前よりも大きな像が視界に入ってくる。全体的な流れが見えてくるのかもしれない。
それ以前には別物ととらえていた物事のあいだのパターンや関係に気づくからだろうか。その結果、すべてが変わってしまうかもしれないのだ。
一歩下がって、何年も同じように見てきたものを改めて確認すると、突然それを初めて見たような気分になることもあるだろう。この経験をしたことがある人なら、「既視感(デジャヴ)の逆」のような感じがするのではないだろうか。
デジャヴとは、かつて行ったことのない場所に行ったときに何となく感じる親しみ(いつか来たことのあるような気がする)の感情のことだ。これに対し、自分がよく知っているものを見ているときに突然それを新鮮に感じてしまうという状況を、スタンフォード大学の教授ボブ・サットンは、デジャヴの逆で「ヴジャデ」というちょっと聞き慣れない用語を用いて説明している。
周囲のものを「ヴジャデ」レンズで眺められるように訓練すると、新しい可能性が開けるかもしれない、とサットンは主張する。見慣れた光景にカモフラージュされて気づかなかったものに新たな疑問が湧き、追究すべきアイデアや取り組むべき課題が見えるようになるというのだ。
この見方を採用すると、ビジネスリーダーやマネジャーは矛盾や古い方法、そして埋もれたまま見放されている機会への嗅覚が鋭くなる。社会問題に取り組んでいる人、あるいは個人的な問題に悩んでいる人でさえ、自分が知っているはずのことについて多くの疑問を抱き、基本的な質問をできるようになるだろう。
もちろん、これは簡単にできることではない、とサットンは釘を刺す。「それは、普段はマイナスと思っていることをプラスに、またプラスと思っていることをマイナスにとらえることを意味します。原因と結果の前提条件をひっくり返したり、最も重要なものとそうでないものを取り替えたりすることもあります。つまり、自動操縦を使わずに人生の旅をするということなのです」