ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』)、ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)、アダム・グラント(『GIVE&TAKE』)絶賛! さらに、NYタイムズ、ブルームバーグ・ビジネスウィーク、パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌で絶賛された世界的ベストセラー『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』
グーグル、IDEO、ネットフリックス、パタゴニアなど、世界で最も革新的な企業で次々と爆発的な発想を生み続けている「驚愕の思考法」とは?
本連載では、「たった1行の問い」から「非凡な思考」を次々と生んでいく画期的な方法について、書籍『Q思考』から紹介していきます。

ブレインストーミングではいいアイデアは出ない

 最近のビジネス界では、ブレインストーミングの評判はまちまちだ。人は肩のこらないくつろいだ雰囲気の中で、それほど必死にはなっていないようなときこそ最も創造的な思考ができる、つまり「結合的探求」を通じて新鮮な切り口や脈絡のない連想を思いつきやすいということが、次第に理解されるようになってきた。

 ブレインストーミングの会議はこれとはまったく逆で、みんなが一つの部屋に押し込められて、必死になって独自のアイデアをひねり出そうとするものだ。

「そこには、他のメンバーからの大きなプレッシャーと影響があります」と、『赤い糸の思考法(Red Thread Thinking)』(未邦訳)の著者デブラ・ケイは指摘する。「ブレインストーミング・ミーティングでは、いわゆる仲間からの圧力(ピア・プレッシャー)によって自由な連想がしにくく、当たり前の答えしか出てきません」

 ところが多くの会社はブレインストーミングをやめたがらない。グループで課題に取り組むことがどんなに重要かよくわかっているからだ。問題解決において、皆で考える共同思考が極めて重要なのは、多数の見方や幅広い背景的知識を持ち寄れるからだ。

 ときに創造性が孤独を必要とする(発明家のニコラ・テスラは、「一人でいなさい。アイデアが生まれるのはそのときだ」と言っている)としても、さまざまなアイデアや思考が交換されるとそれが化学変化を起こして大きく発展することを私たちは知っている。

 この難問に対する一つの解決法は、ブレインストーミングを、「アイデアをひねり出す」のではなく「疑問や質問を生み出す」場にすることかもしれない。この点については教育界、ビジネス界の両方から数多くのグループや個人が大変興味深い調査結果を発表している。

 問いを通じて問題に取り組む方法を生徒たちに教える専門機関、ライト・クエスチョン・インスティテュート(RQI)は、受講者(子どもも大人も)は、皆で質問を考え出すことに集中するクエスチョン・ストーミング(Qストーミング)のほうが自由な発想と豊かな創造性を発揮して物事を考えられるようだということを発見した。

「この方法だと、ブレインストーミングで参加者が感じるようなピア・プレッシャーが低下する」とRQIのダン・ロスシュタインは考えている。問うときよりも答えるときのほうが厳しい反応を受けやすいのだ。