また、米東部ペンシルバニア州に拠点を置き、性暴力に関する政策助言も行う非営利団体「全米性暴力情報センター(NSVRC)」も昨年、アメリカ国内の大学構内で女子学生がどれくらいの頻度で性犯罪に遭うのかをまとめた報告書を発表した。NSVRCは過去に司法省やホワイトハウスの特別タスクチームが行った調査の結果なども交えて、アメリカの大学における性犯罪の実態について警鐘を鳴らしている。NSVRCの報告書に書かれた性犯罪に関する統計の一部をここに抜粋する。

・女子学生が標的となった性的暴行事件(レイプを含む)では、容疑者の約9割が被害者と面識のある人物であった。

・性的暴行が報告された大学の約40%が、過去5年の間に加害者に対する調査を学内で一度も行っていなかった。

・全米の大学の約30%では、女子学生に対して性犯罪の被害に遭わないためのトレーニングやオリエンテーションを実施していない。

・全米の大学の約70%で、構内で性犯罪が発生した際の地元警察との協力体制が構築されていない。

・調査に協力した「加害者」の約75%が、犯行前にアルコール類を摂取していたと自己申告しており、アルコール類の影響が大きいと考えられる。

 NSVRCの別の報告書では、構内でレイプ被害に遭った女子学生の中で、実際に警察に報告する割合は5%以下で、親しい友人のみに性的暴行を受けたことを話すのだという。家族や学校関係者にも話しづらい環境が存在するため、NSRVCは大学構内における性犯罪が身近に存在する実態を周知させ、その中で学校関係者が被害者のプライバシー保護を徹底しながら、学校側が事件に対してもっと積極的に介入していくことが必要だと唱える。

 有名大学の構内で性的暴行事件が発生し、それらに対する学校側や司法関係者の対応が甘いという批判が相次いだため、「大学のキャンパス内における性犯罪被害」が米メディアによって大きくクローズアップされたが、実際にはキャンパスの外で性犯罪の被害に遭う割合の方がはるかに高いのも事実だ。

 米司法省傘下の国立司法研究所(NIJ)が2000年に出した報告書では、女子学生に対するレイプの約33%が大学構内で発生したが、その倍となる約67%はキャンパス外で発生していた。NIJの報告書は16年前のものだが、「キャンパス内」と「キャンパス外」の比率にそれほど大きな変化は生じていないという考え方が一般的だ。NSRVCで広報を担当するミーガン・トーマスさんは、学校関係者や警察だけでは性犯罪を未然に防ぐことに限界があると指摘し、周囲にいる人の協力が大きな抑止効果を生むと語る。